条件・命題
関連問題
正しい事柄を
真
、誤りである事柄を
偽
と言う。
真であるか、偽であるか、そのいずれかを明確に決めることのできる事柄を
命題
と言う。
命題が偽であることを示す例を
反例
と言う。
対象となるものの変化の具合によって、真であったり、偽であったりする事柄を
条件
と言う。条件を表すのに小文字のアルファベットを使います。条件を考えるときには、何を対象としているのかを明示する必要があります。条件
c
が対象とするもの全体の集合を、条件
c
の全体集合と言います。
命題が真であるときには、証明することができます。
命題が偽であることを示すためには、反例を
1
つあげれば十分です。
1
つでも反例が挙げられる命題は偽だと言えます。
命題は通常、
2
つの条件
c
,
d
について、「
c
ならば
d
」という形をしています。このとき、条件
c
を仮定、条件
d
を結論と言います。
命題:「
c
ならば
d
」を記号で、
と書きます。
例
1
.
(1)
命題:「
x
が実数であれば
」は、真
(2)
命題:「三角形の内角の和は
」は、真
(3)
命題:「
2
辺と
1
角が等しい
2
つの三角形は合同である」は、偽
反例は右図の
2
つの三角形。
2
辺と
1
角が等しいけれども合同ではありません。
(4)
条件:
“
”
は、
であるか
の場合には真ですが、
の場合には偽です。
(5)
条件:
“
x
は素数
”
は、
などでは真ですが、
などでは偽です。
(6)
条件:
“
x
は奇数
”
は、
では真ですが、
では偽です。
(7)
命題:「
“
x
は素数
”
であるならば、
“
x
は奇数
”
」は、偽です。反例は、
命題:
が成り立つとき、つまり真のとき、条件
c
を満たすものの集合を
C
,条件
d
を満たすものの集合を
D
とすると、この
2
つの集合の間には右図のような関係があります。条件
c
を満たすものは、全て条件
d
を満たすので、集合
C
の要素
(
右図の×点
)
は全て集合
D
の要素であって、集合
C
は集合
D
に含まれます。つまり、
となります。
命題:
が成り立たないとき、つまり偽のとき、条件
c
を満たすものの集合を
C
,条件
d
を満たすものの集合を
D
とすると、この
2
つの集合の間には右図のような関係があります。条件
c
を満たすものの中に条件
d
を満たさないものがあるので、集合
C
の要素であって集合
D
の要素でないもの
(
これが反例です。右図の×点
)
が存在します。従って、ベン図は、集合
C
が集合
D
の外側にはみ出る形になります。反例は、集合
の要素です。
命題:
,命題:
のいずれも真であるとき、
”
”
と書きます。条件
c
を満たすものの集合を
C
,条件
d
を満たすものの集合を
D
とすると、
かつ
となるので、
となります。このとき、条件
c
と条件
d
とは「
同値
である」と言います。
命題:
が真であるとき、
c
を
d
であるための
十分条件
、
d
を
c
であるための
必要条件
と言う。
命題:
,命題:
のいずれも真であるとき、つまり、
であるとき、
c
は
d
であるための
必要十分条件
、
d
は
c
であるための
必要十分条件
と言う。
十分条件は「十分に厳しい条件」であって、満たす範囲が狭い。必要条件は「必要最低限の緩い条件」であって、満たす範囲が広い、ということを、ベン図と合わせてよく理解しておく必要があります。十分条件を満たすものの集合が必要条件を満たすものの集合に含まれるのです
(
右図
)
。
結婚相手を考えるときに、「花婿」の条件に対して、「身長
180cm
以上、体重
65kg
以下、大手企業の幹部で年収
2000
万円以上、自動車あり、家持ち、話題豊富で笑顔が素敵」という条件と、「男」という条件を考えたとします。
「身長
180cm
以上、体重
65kg
以下、大手企業の幹部で年収
2000
万円以上、自動車あり、家持ち、話題豊富で笑顔が素敵」であれば、花婿にしても良いと思うのなら、
「身長
180cm
以上、体重
65kg
以下、大手企業の幹部で年収
2000
万円以上、自動車あり、家持ち、話題豊富で笑顔が素敵」⇒「花婿」
ということになるので、条件:「身長
180cm
以上、体重
65kg
以下、大手企業の幹部で年収
2000
万円以上、自動車あり、家持ち、話題豊富で笑顔が素敵」は、「花婿」であるための十分条件
(
十分厳しくて、条件を満たすものが少ない、ひょっとしていない?
)
です。
これでは、婚期を逃してしまうな、と、思うと、男でありさえすれば誰でもいいや、ということにはならないですね。つまり、「男」であっても「花婿」の条件を満たすとは限りません。
「花婿」⇒「男」
ということになるので、「男」であることは、「花婿」であるための必要条件
(
必要最低限の緩い条件で、何でもござれ
)
と言うことになります。
例
2
.
(1) “
x
は実数
”
⇔
“
”
は真です。
x
が実数であることは
であるための必要十分条件、
であることは
x
が実数であるための必要十分条件です。
(2) “
”
⇒
“
”
は真です。
であることは
であるための十分条件、
であることは
であるための必要条件です。
(3)
命題:
“
x
が素数
”
⇒
“
x
が奇数
”
,
命題:
“
x
が奇数
”
⇒
“
x
が素数
”
は、ともに偽です。
“
x
が素数
”
であることは、
“
x
が奇数
”
であるための、必要条件でも十分条件でもありません。同様に、
“
x
が奇数
”
であることは、
“
x
が素数
”
であるための必要条件でも十分条件でもありません。
条件
c
に対して、「
c
でない」という条件を、条件
c
の
否定
と言い、
と表す。
です。
全体集合を
U
として、条件
c
,条件
d
を満たすものの集合を
C
,
D
とします。
条件
を満たすものの集合は、
C
の補集合
となります。
“
c
かつ
d
”
を満たすものの集合は、
です。
“
c
または
d
”
を満たすものの集合は、
です。
ド・モルガンの法則より、
,
従って、
“
c
かつ
d
”
の否定は、
“
c
でないか、または
d
でない
”
となります。
“
c
または
d
”
の否定は、
“
c
でない、かつ、
d
でない
”
となります。
つまり、
,
否定を作ると、「かつ」が「または」になり、「または」が「かつ」になります。
例
3
.
(1) “
x
が奇数
”
の否定は、
“
x
が偶数
”
です。
(2) “
かつ
”
の否定は、
“
または
”
です。
(3) “
または
”
の否定は、
“
かつ
”
です。
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