東工大数学'10年前期[4]
aを正の定数とする。原点をOとする座標平面上に定点と、Aと異なる動点をとる。次の条件
AからPに向けた半直線上の点Qに対し
ならば を満たすPからなる領域をDとする。Dを図示せよ。
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解答 以下では、問題文中でPが満たすべき条件として出てくる命題を命題Cと呼ぶことにします。この“命題C: ならば ”の意味するところがわかりにくいだけでなく、論理的に入り組んでいる上に、分母=0の考慮も必要で、難路を紆余曲折させられます。
まずは、簡単な場合から題意をつかむようにしましょう。
いきなり座標平面上で考えるのでは難しいので、x軸上に,をとって調べてみます。,,,,,また、PはAと異なるのでであり、Qは、AからPに向けた半直線上の点なので、は0になることを含めてと同符号です。
命題Cは、
ならば ・・・@ となりますが、これでも、わかりにくいので、数値を入れてみます。
@で,としてみると、なのでであって、
ならば 即ち、
ならば となりますが、のときに、の分母が0になってしまうので、は命題Cを満たさず、のときは領域D内の点ではありません。
より、@でとすることはできません。
@で,としてみると、なのでであって、
ならば 即ち、
より、結局、
ならば となりますが、これは成立しません。よって、のときも領域D内の点ではありません。
@で,としてみると、なのでであって、
ならば 即ち、
より、
ならば となりますが、これは成立するので、は命題Cを満たし、のときは領域D内の点です。
試験場でも、a,xにいろいろな値を入れて、命題Cが成立する場合、成立しない場合を試してみることになるでしょう。
ここで、数値代入してやってみたことを整理します。命題Cの十分条件:から得られるQの座標に関する不等式の範囲を,必要条件:から得られるQの座標に関する不等式の範囲をとして、特定の点について、がに含まれていれば命題Cが成立するので「は領域D内の点だ」と判断し、がに含まれていなければ命題Cが成立しないので「は領域D内の点ではない」と判断しています。
であれば、一般的な点について、十分条件から得られる範囲が、必要条件から得られる範囲に含まれるようなを調べれば、「命題Cが成立する」という条件を満たすPからなる領域Dを求められるはずです。
ここでは、必要条件、十分条件の範囲を考えやすくするために、
, とおくことにします。ここに、PはAと異なるので,Qは半直線AP上の点なのでです。また、半直線APがx軸正方向となす角をθ ()とします。
Pの座標は,Qの座標はとなります。
さらに、命題Cの必要条件の分母にOQが出てくるので、QはOと一致しません。
QがOと一致するとき、Qの座標について、
,なので、,,つまり、
また、より
kは任意の正数値をとり得てしまうので、Pの位置によってとなる可能性を排除することはできないので、
Pが存在する領域Dは、
となる範囲を含んでいてはならない ・・・(*)
ということに注意します。
さて、命題Cの十分条件:より、
・・・A となります。命題Cの必要条件から得られる範囲は、Aを含まなければなりません。
命題Cの必要条件:より、,を用いて、
・・・B ここで、
Bの両辺は、負になることはなく、rで割って、両辺を2乗すると、
整理すると、
・・・C (i) のとき、点PはAを中心とする半径aの円周上の点ですが、Cより、 より、 ・・・D (*)より、のとき、Pはに来るので、領域Dからは除かれます。
よって、このとき、を除いて、“A ならば D”は成立し、命題Cが成立します。 (ii) のとき、点PはAを中心とする半径aの円周より内側の点ですが、Cより、 より、なので、 ・・・E このとき、“A ならば E” (Eの範囲がAの範囲を含む)が成立するために、
でなければなりません。分母を払って整理すると、
ここで、,より、 ∴ ・・・F
また、 (PはAと異なる点)に注意すると、 ⇔ “ かつ ”よりは除かれます。(*)を検討します。のとき、Pは、x軸上のの部分を動きます。この部分は領域Dから除かれるべきですが、そもそもFに含まれていません。
よって、このときは、を除く領域F内に存在するPについて、“A ならば E”が成立し、命題Cが成立します。 (iii) のとき、点PはAを中心とする半径aの円周より外側の点ですが、Cより、 ・・・G Pのx座標について、(a) のとき、Gの中カッコ内は正で、不等式Gを満たすkは、 ・・・D
このとき、“A ならば D”が成立します。 (b) のとき、より、不等式Gを満たすkは、 ・・・H
Aを満たすkのうち、となるkはHを満たさず、“A ならば H”は成立しません。 (a),(b)より、です。(*)を検討します。のとき、Pは、x軸上のの部分を動きますが、この部分はそもそもかつの部分には含まれていません。
よって、このときは、において、“A ならば D”が成立し、命題Cが成立します。
(i),(ii),(iii)をまとめると、命題Cが成立するのは、
を除く,または、 かつ (よりを除く),または、 かつ のときで、がAを中心とする半径aの円周を表すことに注意して、整理すると、領域Dは、
であって、図示すると右図黄緑色着色部(境界線を含み白マルを除く)。
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