東工大数学'90年前期[1]

xyzwを正数とする。任意の正の整数mnに対して、
が成り立つための必要十分条件を求めよ。


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解答 問題を見た瞬間、いったい何をすれば、と、頭を抱え込んでしまいそうな問題です。試験会場でも、最初の数分、呆然と立ち尽くすだけ、あるいは、即座に次の問題に飛んでしまうかも知れません。ですが、入学試験は競争です。何としても、この問題に食い下がろう、と、思うのであれば、まずは、1点でも良いから、得点を上乗せしようという発想に立つべきです。
もちろん、この問題をさておいて無意味なことを書いても、得点できるわけではありません。
この問題を考えるのにつながるようなことで手がかりをつかむ必要があります。

この問題が、なぜ、即座に手がつかないかと言うと、
n乗されているところがあり、展開して二項定理などを使うのでは、話が膨大になってしまうからです。
であれば、まずは、手がつきやすいように、
mnにわかりやすい小さな自然数を代入するところから始めることにします。

mnを代入してみると、与式は両辺ともとなるので成立します。
そうしたら、答案用紙には、この事実だけでも書いておくようにしましょう。当たり前のようなことですが、この問題の正答率が低ければ、もしかすると、
1点くらいはもらえるかも知れません。この1点で当落が分かれてしまうのだとしたら、たかがこれだけのことで大きな1点です。

を代入してみると、与式は、



整理すると、
両辺を2乗すると、

となり、
 ・・・@
という必要条件が出てきます。
ここまで答案に書いておけば、
23点、運が良ければ5点くらい期待できるかも知れません。但し、これだけでは、必要条件というだけで十分性の確認ができていません。つまり、,あるいは、の場合にも成り立つかどうか、確認されていません。一般的な場合についても成り立つのかどうか確認することにします。

逆に、のとき、

のときは、与式は、左辺、右辺とも、となり、与式は成立します。
かつのときは、@よりです。このとき、与式は、左辺、右辺とも、となり、与式は成立します。
かつのときは、@をで割り、とおくと、与式左辺は、
与式右辺は、


となり、与式は成立します。
以上より、求める必要十分条件は、 ......[]

難攻不落の堅牢な城だと思われていた問題が、mnにちょっと数値代入するだけであっけなく解けてしまう、という要領を頭に入れておいて頂きたいと思います。


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