光速の測定

元々、光は瞬間的に伝わる、と考えられていました。17世紀初頭に活躍したガリレオは、光が有限の速さで伝わると考え、2カ所に置かれたランプで合図を送る時間を測定しようとしましたが、当時の計測技術では光速の測定は不可能でした。

1676年レーマーは、ガリレオが1610年に発見した木星の衛星イオの食を観測していました。レーマーはイオが木星の影に入る(図の)時刻と木星の影から出てくる(図の)時刻を観測していましたが、地球と木星の位置関係によってその時刻が予測と食い違うことに気づきました。地球が木星から遠ざかると、の距離を光が伝播する時間だけ予測される時間から遅れます。レーマーは光速が有限なため、と考えました。レーマーの観測データから、後にホイヘンスは、光速をと計算しました。

ケプラーの法則により、地球が太陽の回りを公転していることが確実となり、地球の公転によって恒星の見える位置が変化して見える年周視差の観測が行われるようになりました。太陽系に近い恒星で、明るく輝く星の中で天頂を通過するりゅう座γ星を対象として年周視差の観測を行っていたブラッドリーは、年周視差以外に恒星の見える方向が異なって見える光行差という現象を
1727年に見しました(年周視差の発見は1838年になってからです)
地球の公転の向きが春分と秋分とで逆方向になるので、恒星の見える方向も逆方向にずれて見えます。右図のように、天頂に見える恒星の場合、地球が動かなければ恒星から来た光は望遠鏡内を真っ直ぐに進みますが、地球が公転速度で動くので光行差のために天頂から角
θずれた方向に見えます。光速をc,地球の公転速度をvとして、から光速cを求めることができます。年周光行差
と、地球の公転速度とから、
と光速が求められます(ブラッドリーは、太陽から地球まで光が伝播する時間を求めています)

1849年、回転歯車を用いた実験により、フランス人のフィゾーが光速測定を試みました。右図で、歯数n,回転数f /秒の歯車の溝の部分を通過した光が距離L離れた反射鏡で反射されて戻ってきたとき、先に通過した歯車の溝の部分を通過すれば、観測者が戻ってきた光を観測できます。ですが、歯車が回転して、反射されて戻ってきた光が歯の部分に遮られてしまうと、観測者は光を観測できません。歯車の回転により、溝だったところに隣の歯が来てしまう時間は、1回転する時間、この間に光は、歯車と反射鏡との距離L2倍の距離を進むので、光が往復する時間はです。より、として光速が求められます。とすると、となります。フィゾーは、歯数720の歯車を毎秒12.6m/s回転させ、自宅と約8600m離れたモンマルトルの丘に反射鏡を置き、という測定値を得ました。

1862年、フーコーが回転鏡を用いて光速の測定を行いました。右図で、回転鏡に光を当て、反射した光が別の鏡でさらに反射して回転鏡に戻ってくる間に回転鏡がθ回転すると、このときの反射光の方向はずれます。回転鏡の回転数をf /秒とすると、θ回転するのに、1回転する時間倍での時間がかかります。この間に光は、回転鏡と反射鏡の距離L2倍だけ進みます。 ∴
として、フーコーは、という光速の値を得ました。

その後、
1926年、マイケルソンが、フーコーの実験を改良した装置を用いて、という光速の値を得ています。
1973年、米国のエベンソンがレーザーを用いた精密測定により、という光速の値を得ました。現在では、光が真空中で1秒間に進む距離の分の11メートルと定義する、ということになっていて、光速はということになっています。



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