奈良県立医大数学'09[1]

xyz空間において原点Oを中心とする半径1の球面をSとし、球面Sから点Nを除いた部分に属する点Pに対して、2NPを通る直線とxy平面との交点をQとおく。
(1) Qの座標を求めよ。
(2) 球面S上の任意の点Rに対してRのどんな近くにも、S上の点で各座標abcがすべて有理数からなるものが存在することを証明せよ。


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解答 (2)が問題ですが、「条件を満たす点が存在すること」の証明は、条件を満たす点を求める方法・手順を説明すればよいのです。指定された手順により条件を満たす点を定めることができる、ということは、条件を満たす点が存在する、ということです。

(1)
直線NP上の点をとして、直線NPベクトル方程式
直線NPxy平面との交点においては、として、
Pは点Nと異なる点なので、
よって、点Qの座標は、 ......[]

(2) 球面S上の任意の点Rについて、点Rが点Nの位置に来るように回転させて考えることにすれば、点Rが点Nだとして考えて一般性を失いません。
そこで、点Nのどんな近くにも、S上の点Aで各座標abcがすべて有理数からなるものが存在することを証明することにします。
また、「点
Nのどんな近くにも」という表現を、点Nのどんな近くに点Nとは異なる点Pをとったときにも、を満たす点A (abcは有理数)が存在する、として考えます。
ここで、点
Pの部分にとる場合には、点の代わりに点を点Pとして考えれば、より、
なので、であればです。
そこで、点
Pの範囲にとって考えることにします。
球面
S上のの部分にあってNとは異なる任意の点Pに対し、(1)より、直線NPxy平面との交点Qです。ここで、
 ・・・@
を満たす有理数r (どんな実数に対しても、それよりも大きな有理数は必ず存在します)と有理数k (kは何でもよい)をとって、
とすれば、XYは有理数であって、
 ・・・A
このとき、球面S上の点Aで、直線NAxy平面との交点がとなる点を考えます(ANとは異なり、また、とします)(1)と同様に、
つまり、
 ・・・B
Aは球面S上の点なので、
Aを用いて、
 ・・・C
より、 ・・・D
となり、
rは有理数なので、cは有理数です。よって、Bより、abも有理数です。
 ( D) ・・・E
@の右辺をとおくと、

Pは球面S上の点なので、
Cと同様にして、
より、
Eと同様にして、
@:より
これは、任意の点Pに対してPよりもNに近い点Aが存在することを意味します。
即ち、点
Nのどんな近くにも、S上の点Aで各座標abcがすべて有理数
からなるものが存在し、題意は証明されました。(証明終)


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