横浜国大物理'04[3]

重力加速度をgとして次の問いに答えよ。
(1) 次の文中の空白を埋めよ。
両端が固定された長さの弦にできる定常波の腹がn()のときの波長は (a) と表される。のときの振動を (b) と呼ぶ。弦を伝わる波の速さは、張力Tと弦の単位長さ当たりの質量(線密度)ρとによって (c) と表される。

(2) 同じ材質でできた、断面が円形で直径の異なる針金Aと針金Bがある。
針金Aを用いて、図のように一端を壁に固定し他端には滑車を通して質量mのおもりを付ける。壁と滑車の間の距離はである。その中央を指ではじくと、3個の腹のある定常波ができて、振動数はfであった。
(a) 針金Aの線密度を求めよ。
針金Bについても図と同じ条件で振動させると、同様に3個の腹のある定常波ができた。同様の設定で針金Aと針金Bを二つ並べて同時にはじくと単位時間あたりk回のうなりが観測され、針金Bにおもりをわずかに追加すると、うなりは消えた。この間、針金Bの腹の数は変化しなかった。
(b) おもりを追加する前に針金Bに生じた波の振動数はいくらか。
(c) おもりを追加した後、針金Bについているおもりの質量はいくらか。
(d) 針金Bの直径は針金Aの直径の何倍か。


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解答 弦の振動に関する問題です。(2)では少々悩むかも知れませんが、既知の物理量を(1)(c)の結果にあてはめた式を書いてみることで視野が開けます。

(1)(a) 2個分の長さ波長になります。弦の長さを腹の数ので割り、波長λは、
......[]
(b) 基本振動 ......[]
(c) 公式なのですが、公式として記憶していなくても、次元解析で求めるようにしましょう。
長さ質量時間の次元をそれぞれとします。
波の
速さvの単位はで、次元は、長さ時間で割った次元です。
張力Tの単位はで、次元は、質量長さをかけて時間2乗で割った次元です。
線密度ρの単位はで、次元は、質量長さで割った次元です。
vTρの間に、という関係があるとすると、次元について、

両辺の各指数を比較して、

これより、とわかります。

......[]

(2) 針金A線密度ρ,針金A,針金Bの断面の円の半径abとします。
単位長さあたりの質量断面積に比例するので、針金B線密度は、
 ・・・@
になります。
(a) (1)(a)の結果より、腹が3個できるときの波の波長は、です。また、弦の張力はおもりにはたらく重力に等しくなります。波の公式より、(1)(c)の結果を用いて、
 ・・・A
......[]
(b) 針金Bの方が断面積が大きく線密度も大きいので、(1)(c)の結果からして、針金B振動数は、針金A振動数fよりも小さくなります。よって、
......[]
(c) おもりを追加する前は、針金Bの弦の張力で、振動数だったので、波の公式より、
 ・・・B
おもりを追加した後、針金Bについているおもりの質量とすると、振動数fだったので、波の公式より、
 ・・・C
B÷Cより、
......[]
(d) A÷Bより、
@より、
......[]


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