筑波大物理'08[3]

焦点距離fの凸レンズと焦点距離の凹レンズについて以下の問いに答えよ。ただし、fや問いの中の距離abなどは正の値を持つ量とせよ。また、光線は実際にはレンズの両面で屈折するが、レンズが十分薄いと仮定して、光線をレンズの中心面上で屈折するものとして作図せよ。作図や考え方の要点も記入すること。
1 図1のように、凸レンズの中心Oから距離aの位置にある物体ABがレンズの前方の焦点の外側にあるとき、物体の各部分から出た光によって、レンズから距離b離れたレンズ後方に倒立の実像ができる。像ができるようすを作図することにより、bafによって表す式を求めよ。
2 図2のように、凹レンズの中心から距離の位置に物体ABを置くと、その各部分から出た光によって、レンズから距離離れたレンズ前方に正立の虚像ができる。像ができるようすを作図することにより、によって表す式を求めよ。
3 図3のように、凹レンズの前方から光軸に平行な光線を当てているときに、その後方に凸レンズを置いた。ただし、とする。凸レンズの位置を調節すると、凹レンズと凸レンズの間隔がdのところで、凸レンズを通過した光線がやはり光軸に平行に進むのが観察された。このとき、dfによって表す式を求めよ。
4 問3の平行光線の代わりに、図4のように、凹レンズの前方距離lの光軸上の点Aに点光源を置いた。凸レンズの位置を調節すると、凹レンズと凸レンズの間隔がのところで、凸レンズを通過した光線が光軸に平行に進むのが観察された。このとき、flによって表す式を求めよ。


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解答 問1、問2、ここでは、レンズの公式から答を出すのではあまりに味気ないので、公式を導くところから書いておくことにします。公式の導出問題も入試ではよく見られるので、教科書をしっかり読みこなしておきましょう。

1 像ができる様子を作図したものを右図に示します。Aから出て光軸に平行に進んだ光線は、凸レンズの点Cで屈折して焦点に向かって進みます。Aから出て凸レンズの中心Oを通過した光線はそのまま直進し、Cで屈折して進んできた光線とで交わり、物体ABの実像を作ります。
三角形ABOと三角形は相似なので、
 ・・・@
三角形と三角形は相似なので、
 ・・・A
@,A,より、
 ・・・B

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2 像ができる様子を作図したものを右図に示します。Aから出て光軸に平行に進んだ光線は、凹レンズの点Cで屈折して焦点から出て直進するかのように進みます。Aから出て凹レンズの中心を通過した光線はそのまま直進します。の交点の位置に物体ABの虚像ができます。
三角形と三角形は相似なので、
 ・・・C
三角形と三角形は相似なので、
 ・・・D
C,D,より、
 ・・・E

......[]

3 光軸に平行に進んできた光線は凹レンズを通過すると、焦点から出てきて直進するかのように屈折します。また、凸レンズで屈折して光軸に平行に進む光線は、凸レンズの焦点から出てきた光線です。
ということは、右図のように、凹レンズの焦点と凸レンズの焦点が同じ位置にある、ということです。従って、右図より、
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4 問3にも書いたように、凸レンズで屈折して光軸に平行に進む光線は、凸レンズの焦点から出てきた光線です。手前に凹レンズがあるので、凸レンズの焦点の位置に、点光源Aの凹レンズによる虚像があって、この虚像から出てきて直進するかのように、凹レンズで屈折したことになります。右図より、
凹レンズと物体との距離はlなので、問2として、
......[]

追記.問1のB式をbで割ることにより、レンズの公式: ・・・F が得られます。問2のE式をで割ると、となりますが、F式で () ()と考えれば、公式としては、Fだけを覚えておけばよいことになります。
つまり、公式Fにおいて、像と物体がレンズの両側にあるときに,像と物体がレンズの片側にあるときに,凸レンズのときに,凹レンズのときにと考えます。



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