九大文系数学'08[4]

放物線Cをみたす実数を考える。このとき、次の問いに答えよ。
(1) C上の点における接線とx軸との交点のx座標をとするとき、を用いて表せ。
(2) (1)で求めたに対して、C上の点における接線とx軸との交点のx座標をとする。この操作を繰り返してできる数列を,・・・,,・・・とする。このとき、すべてのnに対して、を示せ。
(3) とおくとき、すべてのnに対して、を示せ。
(4) のとき、となるnの値を1つ求めよ。ただし、必要があれば、として計算してよい。


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解答 問題そのものは、センター試験練習用程度ですが、「ニュートン法」と呼ばれる数値計算のアルゴリズムをネタにした問題です。(4)は収束の速いニュートン法の利点を確かめよう、というのが趣旨です。

(1) C
微分して、
における
接線は、
整理して、
として
x軸との交点のx座標は、
 ()
......[]

(2) C上の点におけるCの接線は、(1)と同様にして、
としてx軸との交点のx座標は、
 ・・・@
すべての
nに対して、となることを数学的帰納法により示します。
のとき、なので成り立ちます。
のとき成り立つと仮定すると、です。
@より、
 
()

よって、のときにも成り立ちます。
以上より、すべてのnに対してとなることが示されました。

(3) nに入れ替えて、
 ( @)
 ( (2)より)

(4) (3)より、
両辺の常用対数を考え、のとき、
としてみると、
で割って、とすると、

より、
......[]

追記.ニュートン法をネタとする問題は、慶大理工'90[2]など、過去いろいろな大学で出題されています。九大でも'97年理系前期で出題されています。
ニュートン法というのは、微分可能な関数の形が与えられて、方程式:

の解を数値的に求める方法です。
適当な初期値から出発して、曲線上の点における接線:

を考えます。この接線とx軸との交点は、として、
 (とします)
このxとし、以下同様に、
 ・・・()
という漸化式によって、数列を定めると、の取り方が良く数列が収束すれば、の解を与えます。なぜなら、()において、とすれば、
となるからです。

ニュートン法は、初期値の選び方が悪いと必ずしも収束しませんが、うまく初期値を選びさえすれば急速に収束することが知られています。本問では、それを確かめることが趣旨になっています。
慶応理工
'90[2]では、
が取り上げられていました。このでは、
となりますが、この数列は、とすると、



と、急速にの真の値に近づいていきます。
であれば、
となり、に適当な値を与えれば、,・・・として行くと、急速にに近づいていきます。本問では、なので、数列の第nは、nを大きくしていくと1に近づいていきます。
九大理系
'97前期[5](I)では、
が取り上げられていました。このでは、

となりますが、この漸化式を用いるとが得られます。
ところで、ですが、で定められる数列の収束は非常に遅く、
10項目でも100項目でもとなり、eの真の値、と比べてかなり開きがあります。


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