東医歯大数学'09[1]

座標平面または座標空間において、座標成分がすべて整数である点を格子点という。以下の各問いに答えよ。
(1) を座標平面上の半径の円とする。が内部に格子点を含まないとき、の中心が存在しうる領域をの範囲で図示せよ。
(2) を座標平面上の半径の円とする。は中心をどのような位置に移動させても必ず内部に格子点を含むことを証明せよ。
(3) Sを座標空間内の半径rの球とする。Sは半径を変化させずに中心をどのような位置に移動させても、必ず内部に格子点を含むものとする。このときrのとりうる値の範囲を求めよ。ここでSの内部とは、Sの中心からの距離がrより小さい点全体からなる集合のことである。


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解答 問題文の言っていることは直感的に納得できますが、きちんと論証しようとすると難しい、という問題です。

(1) 半径,中心の円が内部に格子点 (mn整数)を含むとき、
 ・・・@ (領域を参照)
@を満たす集合は、を中心とする半径の円の内部の点の集合と見ることもできます。この集合をとします。
が内部に格子点を含まない(が内部にを含まない、但し、mnはすべての整数)
・・・・・・ かつ が内部にを含まない かつ が内部にを含まない かつ が内部にを含まない かつ が内部にを含まない かつ が内部にを含まない かつ が内部にを含まない かつ が内部にを含まない かつ が内部にを含まない かつ が内部にを含まない かつ ・・・・・・
は「・・・・・・ または を中心とする半径の円の内部 または を中心とする半径の円の内部 または を中心とする半径の円の内部 または を中心とする半径の円の内部 または を中心とする半径の円の内部 または を中心とする半径の円の内部 または を中心とする半径の円の内部 または を中心とする半径の円の内部 または を中心とする半径の円の内部 または ・・・・・・」ではない
は「格子点を中心とするすべての円」の周上から外側
よって、範囲で図示すると、右図黄緑色着色部分。

(2) 半径,中心の円の内部の点は、
 ・・・A
を満たします。
(1)の図示結果を見ていると、隣り合う4つの格子点を4頂点とする11の正方形の領域では、4つの格子点を中心とする4円が張り出していることがわかります。従って、座標平面を、隣り合う4つの格子点を頂点とする11の正方形に分け、この正方形領域内を、どの格子点が最も近いかによってさらに4つに分けて考えればよいことになります。このために、ガウスの記号を導入して考えます。
Aの
abに対して、abを超えない最大の整数として、を含む11の正方形の下スミの点の座標は、と表せます。そこで、abを任意の実数とし、円の中心の座標に対して、この正方形を以下の4つに分けて考えることにします。
(i) のとき、
Aにおいて、とすると、は格子点です。このとき、
なので、
より、
これは、格子点がAを満たすことを意味します。つまり、円は内部に格子点を含みます。
(ii) のとき、
Aにおいて、とすると、は格子点です。このとき、
より、
よって、円は内部に格子点を含みます。
(iii) のとき、
Aにおいて、とすると、は格子点です。このとき、
よって、円は内部に格子点を含みます。
(iv) のとき、
Aにおいて、とすると、は格子点です。このとき、
よって、円は内部に格子点を含みます。
の中心をどのような位置に移動させても、上記の4通りのいずれかであって、必ず内部に格子点を含みます。

(3) Sの中心をとして、S内部の点は、
 ・・・B
を満たします。(2)と同様に、
のとき
のとき
これを、
 ・・・C
と表すことにします。
とすれば、点は格子点です。このとき、は、いずれも0からまでのすべての実数値をとり得ます。従って、
よって、abcが任意の実数値をとるとき、Bが成立するためには、,即ち、であることが必要十分です(十分性「であれば球Sが内部に格子点を含む」は明らか)
......[]


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