一橋大数学'06年前期[1]
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次の条件(a),(b)をともにみたす直角三角形を考える。ただし、斜辺の長さをp、その他の2辺の長さをq,rとする。
(a) p,q,rは自然数で、そのうちの少なくとも2つは素数である。
(b) (1) q,rのどちらかは偶数であることを示せ。
(2) p,q,rの組をすべて求めよ。
解答 ピタゴラス数を題材とする整数問題です。(1)は背理法で示します。
三平方の定理より、
・・・@
が成立します。
(1) q,rがともに奇数だと仮定します。
,も奇数なので、は偶数であり、pも偶数です。pが偶数ならは4の倍数です。c,dを自然数として、 , とおくことができますが、
であり、は4の倍数にならず、矛盾が起きます。
ということは、q,rがともに奇数だとした仮定は誤りであり、q,rのどちらかは偶数です。
(2) (1)よりq,rのどちらかは偶数なので、rを偶数だとして、
(eは自然数)とおきます。
@より、 ・・・A p,qがいずれか一方が奇数で他方が偶数だとすると、,はともに奇数でに等しくなることはありません。よって、p,qはともに奇数かともに偶数で(ともに偶数だと条件(a)に反するのでともに奇数です)、,はともに偶数です。k,mを自然数だとして、 とおくと、Aより、
∴
s,tを自然数として、とおくと、 ここで、なのでということはあり得ません。よって、次の(i),(ii)の2つの可能性が考えられます。 (i) ,のとき、Bより、 , p,qについて解くと、
なので、条件(a)より、に限られます。条件(b)より、 ∴ よって、この場合には条件をみたすp,q,rの組はありません。
条件(b)より、
∴
tとは66の約数ですが、をみたすのは、,のみです。
このとき、,,
上記では、rを偶数として考えてきましたが、qが偶数だとしても、全く同様にして、,,
条件をみたすp,q,rの組は、 ......[答]
追記.上記では、条件(a)がついているので、(i)の場合から答が出てきませんでしたが、条件(a)を外すと、(i)で,として、となる組が得られます。よく知られた3辺の比が5:4:3となる直角三角形です。
をみたす自然数の組をピタゴラス数などと呼ぶことがあります。例えば、
などが知られています。
上記の(i)の場合は、条件(a)がついていてに限られるのであれば、(ii)の場合に含まれます。(ii)を見ていると、自然数s,tをもってきて、
とすると、ピタゴラス数となる自然数の組が得られることがわかります。実際、
です。
京大文系'99後期[5]:
自然数a,b,cについて、等式が成り立ち、かつ、a,bは互いに素とする。このとき、次のことを証明せよ。 (1) aが奇数ならば、bは偶数であり、したがってcは奇数である。
(2) aが奇数のとき、となる自然数dが存在する。
(1)は、本問の(1)と同じです。
(2)は、本問(2)の(i)の場合が、条件(a)があると(ii)の場合に含まれて、と表せる、というところから言えます。
京大理系'92前期[6]では、ピタゴラス数を与える漸化式が出題されています。
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