京大理系数学'01年後期[5]

行列および実数xに対し、行列を用いて表されたxyに関する2つの連立1次方程式
(i) (ii)
について、次の条件()を考える。
() 方程式(i)には解が存在して、方程式(ii)には解が存在しない。
このとき、次の問いに答えよ。
(1) 条件()が成り立つとき、は、いずれもの実数倍であることを示せ。
(2) 条件()をみたす2つの連立方程式を作ることができるためのsの条件を求めよ。


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解答 xyを未知数,pqを与えられた定数として、2次の正方行列を用いて表される連立方程式
 ・・・@
即ち、
を考えます。
であればが存在するので、@両辺の左からをかけて、

これが連立方程式@の解を与えます。即ち、であれば連立方程式@は解をもちます。
のときには、

・Aの表す直線とBの表す直線が同一の直線であるか、または、どちらか一方のみが直線を表す場合、即ち、,または、となる実数kが存在する場合には、abのいずれか一方が0でなければ直線上のすべての点、または、であれば直線上のすべての点の座標が連立方程式の解になりますが、いずれにしても解が無数にあって1つに決まらないので、「不定」と言います。
・Aの表す直線とBの表す直線が平行で異なる直線である場合、連立方程式は解をもちません。この場合を、「不能」と言います。
本問は、方程式(ii)に解がない、不能である、と言っているので、ですが、方程式(i)には解が存在するので、方程式(i)は不定であることになります。

(1) 方程式(ii)に解が存在しないのでは存在せず、
 ・・・C
Cにもかかわらず、連立方程式(i)
が解をもつので、DとEは同一の直線を表す方程式になるか、または、どちらか一方のみが直線を表します。
(i) Dが直線を表さないとき、

(ii) Eが直線を表さないとき、

(iii) DとEが同一の直線を表すとき、
のとき、Cよりですが、DとEが同一の直線を表すために、
ここでとするとになってしまうのでより、,よって、

のとき、DとEが同一の直線を表すために、
また、を満たす実数kが存在します。よって、

以上より、は、いずれもの実数倍です。

(2) (1)より、khを実数として、
とおけます。のときには、連立方程式を作ることができないので、khのどちらか一方は0ではありません。
連立方程式
(i)は、
このとき、(i)は、(Fが直線を表さない)(Gが直線を表さない)の場合も含めて、
を満たすを解にもちます。
連立方程式
(ii)は、
これが解をもたないということは、Hのあらわす直線とIの表す直線が平行で異なる直線だということです。Hより、ということはありえません。Hにをかけた式とIが異なる直線を表すための条件は、
よって、条件()をみたす2つの連立方程式を作ることができるためのsの条件は、
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