東工大数学'07年前期[3]

 一辺の長さが1の正八角形の周上を3PQRが動くとする。
(1) の面積の最大値を求めよ。
(2) Qが正八角形の頂点に一致し、になるときの面積の最大値を求めよ。


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解答 最大値そのものはすぐわかるのですが、論証するのが難しい問題です。もちろん、解答のみの答案では正解でも零点でしょう。(1)(2)も場合分けの方法を充分に考えてから取り組むことになります。
(1) Pを辺上に取り、の面積をSとします。
(i) Qを辺上に取ります。点Rを辺上、辺上、辺上、辺上、辺上、辺上で動かします。
このとき、PQがどのような位置にあっても、の底辺をPQと見るとき、右図より、Rに来たときの高さが、高さの最大値を与えます(Pに来て、Qに来る場合は、R上のどこにいてもSは一定ですが、Qからに向かって動くと、Sは次第に大きくなります。よって、Pに来てQに来る場合を除いて考えます)
なぜなら、
////であって、PQに平行で点を通る直線は正八角形の辺と以外の共有点を持たない(PQから最も遠い点)からです。
従って、
Rに来たときにSが最大になります。そこでRに固定します。
Pが辺上のどこにあっても、PRの底辺と見るとき、Qに来たときの高さが、の高さの最大値を与えます。
また、
Qが辺上のどこにあっても、QRを底辺と見るとき、Pに来たときの高さが、の高さの最大値を与えます。
従って、
Sが最大になるのは、Qに来てPに来たときです。
このときの、
Sの最大値の面積になります。
(ii) Qを辺上に取ります。

(a) Rを辺上に取ります。
右図より、Pが辺上のどこにあっても、Q上のどこにあっても、PQの底辺と見るとき、Rに来たときの高さが、の高さの最大値を与えます。
また、
Pが辺上のどこにあっても、R上のどこにあっても、PRを底辺と見るとき、Qに来たときの高さが、の高さの最大値を与えます。
従って、
Sが最大になるのは、右図のように、Qに来て、Rに来たときです。
このとき、
P上のどこにあっても面積は変わらず、Sの最大値の面積になります。
(b) Rを辺上に取ります。

この場合は、上記のように考えることはできません。Sの増減が点Rの動きによってどう変化するか、ということが、PQの位置関係に依存してしまうからです。Rからまで動くときに、必ずSが増加する、というようなことが言えないのです。そこで、の大小関係で場合を分けることにします。のときにはPQ //となります。
PQ //のとき、右図より、との距離は、
PQとの距離をx ()として、PQとの距離は、,よって、

において、Sは単調減少で、のとき、Sは最大値 (これはの面積です)をとります。
PQと平行でないとき、だとします(も同様です)
このとき、PQの底辺と見ると、P上のどこにあっても、Q上のどこにあっても、右図より、Rに来たときに高さが最大となり、Sが最大となります。そこで、Rに固定します。
P上のどこにあっても、底辺をPRと見るとき、右図より、高さが最大となるのはQに来たときで、このとき、P上のどこにあってもSは変わらず、Sの最大値の面積になります。

正八角形の対称性により、以上で、PQRの位置関係のすべてを尽くしています。
より、の面積の最大値は、
......[]
(2) 右図でPの左上側、Rを右下側として、一般性を失いません。
Pが辺上の以外の点の場合、題意を満たすRを取ることができません。
Rが辺上の以外の点の場合、題意を満たすPを取ることができません。
(i) P(を除く)ならRに来ます。また、R(を除く)なら、Pに来ます。
この場合のSの最大値は、の面積に等しく、
(ii) 右上図より、Pに来るとき、Rに来ます。また、Pに来るとき、Rに来ます。
右下図より、
(a) P上に来るとき、R上に来ます。
(b) P上に来るとき、R上に来ます。
正八角形の対称性より、(a)(b)には必ず対応する合同な三角形となる場合(右下図黄緑色の三角形)があり、どちらか一方を考えればよいので、(b)の場合で考えることにします。

これ以降、座標を考えてもできますが、距離を表すのに根号がついて計算が面倒になります。こういう場合には、どこかの角を
θ とおいて、三角関数で考えるとうまくいくことがあります。

右図で、
()とおくと、だから、です。
において、
正弦定理より、

において、正弦定理より、

よって、
 (倍角の公式を参照)
において、Sは単調増加で、
のとき、
Sは最大値をとります。
以上より、の面積の最大値は、 ......[]


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