東大理系数学'07年前期[1]
nとkを正の整数とし、を次数がn以上の整式とする。整式のn次以下の項の係数がすべて整数ならば、のn次以下の項の係数は、すべて整数であることを示せ。ただし、定数項については、項それ自身を係数とみなす。
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解答 素直に数学的帰納法で考える場合には、kについての帰納法にするのが最もラクなようです。
とし、nを固定して考えます。
これのn次以下の項の係数がすべて整数、つまり、,,,・・・,がすべて整数だとすると、,,,・・・,はすべて整数です。
よって、題意が成り立ちます。
(II) のとき、題意が成り立つとします。つまり、 のn次以下の項がすべて整数ならば、のn次以下の項の係数はすべて整数だとします。・・・(*)のとき、のn次以下の項がすべて整数だとすると、(*)より、のn次以下の項の係数はすべて整数です(題意では、は次数がn以上の整式という制約しかないので、(*)のをと読み替えています)。
であれば、(I)より、,,,・・・,はすべて整数です。
よって、このときも題意は成立します。
(I),(II)より、すべての正の整数kについて、題意は成立します。 (証明終)
問題文を見て、nについての帰納法にするか、kについての帰納法にするか、の次数についての帰納法にするか、だろうと、誰でも考えると思います。
たぶん、合格した受験生の大半は上記の方針でやっていると思いますが、ここでは、問題の中身が見えるように、もっと、直接的に考えてみます。
二項定理:より、 ()として、
の係数は、となるところから出てきますが、
の係数は、となるところから出てきますが、
の係数は、となるところから出てきますが、
・・・・・・
の係数は、となるところから出てきますが、
ただし、なので、こう書けるためには、でなければいけません。
になってしまうと、“”と書けなくなります。
のときには、となるためには、を満たすに対応して、となります(の部分は出てきません)。このときのの係数は、
従って、題意を証明するためには、kをある与えられた正整数だとして、
・の場合には、,,,・・・,がすべて整数であるとき、,,,・・・,もすべて整数であること、 ・の場合には、,,,・・・,がすべて整数であるとき、,,,・・・,もすべて整数であること を示せばよいことになります。
・の場合には、,・・・,
・の場合には、,・・・,
は、すべて整数です。
従って、,が整数であれば、も整数です。
が整数であれば、も整数です。
よって、帰納的に、,,,・・・,はすべて整数です。 (証明終)
後者の考え方でも、試験会場で充分に実用的ですが、実際にやってみると、予備校講師のようなプロならともかく、答案の形にまとめるのに苦労します。
何となくつかめてはいるのだけれど、あと何をどう整理すればよいのか混乱する、というタイプの問題なのです。
方針転換が道草になる、ということもあるのですが、この問題では、10分から15分くらいで、前者の考え方に方針転換すれば、10分かからないで答案をまとめることができると思います。
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