阪大物理'07年前期[1]

図のように、長さ,質量Mの細く一様な剛体棒が、水平な床の上に床と角度となるように置かれ、上端からの位置で台のカドと接するように立てかけてある。台のカドは滑らかで、棒との間に摩擦力は働かない。床面はあらく、棒との間に摩擦力が働く。棒が床面に接する点をAとし、Aにおいて棒が床から受ける垂直抗力の大きさを,摩擦力をとする。また、棒が台のカドと接する点をBとし、棒に垂直な方向に働くBにおける抗力の大きさをとする。の正の方向は図に示す矢印の向きとする。また、棒と床面の間の静止摩擦係数をμ,重力加速度をgとする。棒の中心には重力が働く。
T.水平な外力を棒の中心に加えたところ、棒は静止したままであった。ただし、水平外力の大きさは棒の重さのp()とし、右向きに働くときにとする。
1 棒に働く力の、点Aのまわりのモーメントのつりあいより、を、MLgpのうちの必要なものを用いて表せ。
2 棒に働く力のつりあいより、を、MLgpのうちの必要なものを用いて表せ。
3 棒に働く力のつりあいより、を、MLgpのうちの必要なものを用いて表せ。
4 のときに棒が静止しているためのμの範囲を求めよ。
U.次に、棒が動かないように手で支えてから、棒の中心に水平外力を加えた。手を棒から放すと、水平外力()と静止摩擦係数(μ)の大きさに応じて、棒は静止したままか運動を始めるかのいずれかである。棒が静止したままであるためには、次の3つの条件が同時に満たされなければならない。
(条件a) 台のカド(B)から棒が離れない。
(条件b) 床から棒が離れない。
(条件c) 床に接する棒の端部が左にも右にもすべらない。
今の場合、条件bは、条件cが満たされているときには、必ず満たされている。
5 左向きの大きな水平外力()を加えたときに、条件aが破れてしまう。条件aが満たされるための、pの範囲を求めよ。
6 床の静止摩擦係数が小さいときに条件cが破れてしまう。棒の下端が左にすべらないためにμが満たすべき条件式を適当に式変形すると、pμの間の関係式として次のように表せる。(1)(2)(3)に適当な数を入れよ。
7 同様にして、棒の下端が右にすべらないためにpμが満たすべき条件は次式で表せる。(4)(5)(6)に適当な数を入れよ。
8 条件abcが同時に満たされて棒が静止したままであるためにpμが満たすべき領域を、右図のグラフに斜線で示せ。ただし、グラフに記した直線や曲線のうち、必要なものを使うこと。さらに、グラフの中のの値も答えよ。なお、なる式は、と変形される。この式はを漸近線とする双曲線を表す。グラフ中の曲線はいずれも問6,問7の条件に対応する双曲線の一部になっている。


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解答 力のモーメントの問題です。誘導が親切で、指示通りにやっていけば解答できますが、誘導がなくても解答できるようにしておきたいところです。
条件
a)b)c)が与えられているのは、受験技巧など暗記してこなくても良い、というメッセージなのでしょうけれども、これくらいは知識としてもっているべきだと思います。

T.問1 点Aのまわりの力のモーメントを考えるので、うでの長さ(Aからの作用線に下ろした垂線の長さ)0で考える必要はありません。
重力 (時計回り)うでの長さ水平外力 (時計回り)うでの長さ,抗力 (反時計回り)うでの長さ,よって、点Aのまわりののモーメントのつり合いは(反時計回りを正として)
......[]

2 を求めるためには鉛直方向ののつり合いを考えます。鉛直方向に働く垂直抗力(上向き)のほかに、重力(下向き)抗力の鉛直方向成分 (上向き),よって、鉛直方向の力のつり合いは、
1の結果を用いて、
......[]

3 を求めるためには水平方向ののつり合いを考えます。水平方向に働く静止摩擦力 (向きはわからない、正負ともありうる)のほかに、水平外力 (右向き)抗力の水平方向成分 (左向き),よって、水平方向の力のつり合いは、
1の結果を用いて、
......[]

4 水平外力がなく、点Aで棒の下端は左側にすべろうとしているので、棒が静止しているためには、点Aで右向きの静止摩擦力最大静止摩擦力以下であることが必要十分(摩擦力を参照)です。のとき、

U.問5 台のカド(B)から棒が離れない条件は、
......[]

6 棒の下端が左側にすべらない条件は、右向きの静止摩擦力最大静止摩擦力以下であることです。

で割り整理すると、
 ・・・@
(1) (2) (3) 1 ......[]

7 棒の下端が右側にすべらない条件は、左向きの静止摩擦力最大静止摩擦力以下であることです。

で割り整理すると、
 ・・・A
(4) (5) (6) ......[]

8 領域を図示する際にであることに注意します。と問5の結果,問6の結果@,問7の結果Aをすべて満たせば、棒が静止したままになります。
@の境界線 ・・・B に対して、問題文に指定されているような変形を行うと、として、
これは、を漸近線とする双曲線です。
@は、のとき、 ・・・C
のとき、 ・・・D
Aの境界線に対して、問題文に指定されているような変形を行うと、として、
これは、を漸近線とする双曲線です(Bとp軸に関して対称)
Aは、のとき、 ・・・E
のとき、 ・・・F
上記で、のとき、CかつEを満たす必要がありますが、Eよりになってしまうので、のときには条件をみたす
μは存在しません。
結局、求める領域は、かつDかつFの部分となり、図示すると右図斜線部
(境界線を含む)
図中のは、Bと
p軸との交点で、Bでとすることにより、 (5の結果の符号を変えたものに一致)
......[]


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