阪大物理'13年[2]
図1のように、屈折率の平面ガラス上に、一方が平面で他方が半径Rの球面になっている屈折率の平凸レンズをのせ、レンズの真上から波長λの単色光を入射させる。ここでである。これを真上から見ると、平凸レンズの下面で反射した光と平面ガラスの上面で反射した光が干渉して、接点Oを中心とする明暗の輪(リング)が同心円状に形成される。これをニュートンリングと呼ぶ、この現象について以下の問いに答えよ。また、選択肢については正しいものを選択し、その番号を解答欄に記せ。
T.平面ガラスと平凸レンズの間が空気の場合を考える。ただし、空気の屈折率は1.0である。ここで、光が、屈折率のより大きな媒質で反射するときは、位相が逆になることに注意せよ。
問1 接点Oから平面ガラスに沿って距離rだけ離れた点における、平面と球面の距離hを、rとRを用いて現せ。ただし、hはRに比べて十分に小さいとし、絶対値が1より十分小さいxに対しては、の近似式を用いよ。 問2 接点O付近は、円上に見える。その理由を解答欄に記せ。 問3 接点Oからm番目 ()の明輪の半径を、m,R,λのうちの必要なものを用いて表せ。 問4 このニュートンリングを真下から観測した場合、明輪の輪は真上から観測したときと比べてどう見えるか。次のうちの正しいものを選択せよ。
@ 全く同じに見える。
A 輪の明暗が反転して見える。
B ニュートンリングは見えない。
U.平面ガラスと平凸レンズの間を、屈折率nの液体で満たす場合を考える。
問5 液体の屈折率nがある条件を満たすときに、ニュートンリングは観測できなくなる。その条件を表せ。
問6 ニュートンリングが観測される場合、リングの中心Oからm番目の明輪の半径を、m,R,λ,nのうちの必要なものを用いて表せ。必要があれば、液体の屈折率nの値によって場合分けをすること。
V.液体が残ったまま、図2のように平面ガラスから平凸レンズをゆっくりと持ち上げていく場合を考える。ここで、屈折率はであるとし、平凸レンズの平面ガラスからの高さをdとする。平凸レンズを持ち上げても平面ガラスとの間は常に液体で満たされており、空気は入らない。また、でニュートンリングは観測されていた。 問7 平凸レンズをゆっくりと持ち上げ始めると、明暗の輪の半径はなってゆく。 高さdがある条件を満たすときに、ニュートンリングは、平凸レンズを持ち上げる前と同じ形状になる。最初に同じ形状になる高さを,2回目に同じ形状になる高さをとする。 問8 をR,λ,nのうちの必要なものを用いて表せ。 問9 高さdがのとき、リングの中心Oからm番目の明輪の半径をm,R,λ,n,dのうちの必要なものを用いて表せ。必要があれば、高さdの値によって場合分けをすること。
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解答 ニュートン・リングの問題です。自由端の反射か、固定端の反射かをていねいに考えましょう。問9は慎重に考察する必要があります。
T.問1 三平方の定理より、, に比べて十分に小さなを無視すると、
∴ ......[答] 問2 接点O付近では、A 暗く ......[答] 見えます。
理由は、接点O周辺では、平凸レンズ下面で反射した光と、平面ガラス上面で反射した光が干渉して弱め合うからです。
平凸レンズ下面で反射する光は、屈折率の大きなレンズから屈折率の小さな空気中に進もうとして反射するので自由端の反射をして位相がずれません。平面ガラス上面で反射する光は、屈折率の小さな空気中から屈折率の大きなガラスに入ろうとして反射するので固定端の反射をして位相がπずれます。両反射光は位相がπずれているので、経路差が波長の整数倍のときに弱めあうことになります。接点O周辺では、経路差はほぼゼロなので弱めあうことになります。 問3 平凸レンズ下面で反射する光と平面ガラス上面で反射する光との経路差はです。問2と同様に、両光の間には位相差πが存在するので、強め合う条件は、明輪の半径をとして、 (m:自然数) ∴ ......[答] 問4 ニュートンリングを下側から観察すると、直接透過する光と、まず平面ガラス上面で反射(固定端の反射で位相がπずれる)し、平凸レンズ下面で反射(固定端の反射で位相がπずれる)する光とで干渉してニュートンリングを作ります。両光の位相はそろうので、強め合う条件は、 (m:自然数) ∴ となり、真上から観測したときと比べると、輪の明暗が反転します。 A ......[答]
U.問5 平凸レンズの屈折率と液体の屈折率が一致する()と、この境界で反射しなくなるので、ニュートンリングは観測できなくなります。また、平面ガラスの屈折率と液体の屈折率が一致する()ときにも、ニュートンリングは観測できなくなります。 ......[答] 問6 のときはTと同様に、平凸レンズと液体の境界では自由端の反射、液体と平面ガラスの間では固定端の反射をします。2光の位相差はπ,2光の光路差は,強め合う条件は、明輪の半径を (m:自然数)として、 ∴ ......[答]のとき、平凸レンズと液体の境界では自由端の反射、液体と平面ガラスの間でも自由端の反射をします。2光に位相差はなく、強め合う条件は、 ∴ ......[答]のとき、平凸レンズと液体の境界では固定端の反射、液体と平面ガラスの間では自由端の反射をします。2項には位相差πがあり、強め合う条件は、 ∴ ......[答]
V.問7 このときの光路差は,液体と平凸レンズとの境界、平面ガラスとの境界のいずれか一方で自由端の反射、他方で固定端の反射をするので、2光の位相差はπ,強め合う条件は、明輪の半径をとして、 ∴ () ・・・@
よって、明輪の半径は小さくなります。A ......[答] 問8 dを大きくすると、明輪半径が小さくなるので、のときm番目の明輪であったものが、のときには、番目の明輪になります。よって、 ∴ ......[答] 問9 問8より、のときには、接点O周辺は弱め合う条件が成立して暗くなります。 のときには、接点O周辺は強め合う条件が成立して明るくなります。
のときには、接点O周辺で弱め合う条件が成立しない、という点において、Oを中心とする円内がやや明るくなるのですが、リングにはなりません。
のときには、接点O周辺で強め合う条件が成立しない、という点において、Oを中心とする円内がやや暗くなります。
以上に注意すると、問7より、明輪の半径をr,またmを整数として、強め合う条件は、 ∴ ・・・A
つまり、のとき、より、Aを成立させる最小の整数mはです。従って、m番目の明輪の半径は、@でとして、 (m:自然数) ......[答] つまり、のとき、より、Aを成立させる最小の整数mはです。従って、m番目の明輪の半径は、@でとして、 (m:自然数) ......[答]
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