基本変形


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この項目は、行列行列の積逆行列を参照してください。なお、基本変形は、大学入試ではほとんど出題されないテーマです。どうしても、3次以上の行列の逆行列の求め方が知りたい、という人のための項目です。
連立方程式:
を解くことを考えます。@〜Bを行列を用いて書くと、 ・・・C
として、 ・・・D

まず、
zを消去します。
+Aより、 ・・・E
これが、行列を用いて書かれた連立方程式Cでは、どういうことになっているかを考えてみます。
Aの代わりに、Eを考えても方程式を解くことができるので、Cの行列
Aの第2行をからに入れ替えた行列

を考え、として、を解けばよい、ということを意味しています。

Aからを作る方法を考えてみます。Aの第1行と第3行には影響を与えず、第2行については、Aの第1行の倍をAの第2行に加え合わせたものが来るようにすればよいので、という行列を考え、これをAの左からかけてやると、

つまり、連立方程式のAをEに置き換えたい場合には、行列の第
2行のところを、@にかける数成分、Aにかける数1成分、Bにかける数0成分とし、行列の第1行は@そのままにするのであれば,行列の第3行はBそのままにするのであればとしたものをとして、もとの行列Aにかけてやればよいのです。C右辺についても、


次に、@×
3+Bより、 ・・・F
BをFに入れ替えても方程式を解くことができるので、行列の第
3行をからに入れ替えた行列

を考え、として、を解けばよい、ということになります。からを作る行列は、先ほどと同じように考えて、第
1行は,第2行は,第3行はとした行列をとすれば、となります。右辺についても、

次に、E+Fより、
両辺を
3で割って、 ・・・G
となるのですが、これはの第
1行と第2行を変えないで、第3行に第2行を加えたものが入るので、として、
さらに、第
1行と第2行を変えないで、第3行を3で割るので、として、

次に
yを求めるために、EにGの6倍を加えると、,両辺を16で割って、 ・・・H



最後に、@にGの倍を加えると、

さらに、Hの
3倍を加えて、

これで解が求まっているのですが、に上から
zの解、yの解、xの解、と並んでしまうので、第2行を変えないで、第1行と第3行を入れ替えることにします。このためには、という行列をに左からかけます。
 
(が第3行を第1行に移し、第1行を第3行に移しているのをよく理解してください)

これで、最終形は、,即ち、となるので、きれいに、という解の形が出てきます。

さて、以上の過程で何をしたのかと言うと、元々の方程式Dの両辺に、左から、,・・・,を順次かけて、最終的に、
 
(Eは単位行列)
という形を作ったのです。このときのが連立方程式の解になっているのです。
つまり、となるようにすれば、が連立方程式の解になる、ということです。
また、は、
Aの逆行列になっています。
3次以上の正方行列の逆行列は、この方法によって求めるのがラクです。コンピュータのプログラミングにも向いた方法です。

3つのタイプに分類できます。
(i) i行に第j行のk倍を加える。上記のがこのタイプです。
(ii) i行をk倍する。上記のがこのタイプです。
(iii) i行と第j行を入れ替える。上記のがこのタイプです。
以上の操作では、この
3種類の変形を行うことにより、正方行列Aの逆行列を求めていたのです。
正方行列が逆行列を持てば、この方法で必ず逆行列が求められることが証明されています。
この
3種類の変形は()基本変形と呼ばれています。

実際に、逆行列を求める場合には、行列
Aの右に単位行列Eをつけたという形の行列に基本変形を施し、最終的にという形が得られるとすると、このMになります。
上記のでは、以下のようになります。右の方から順々に行列の成分を
0にしていくように変形するのがコツです。

 
(2行に第1行の倍を加えた)
 (3行に第1行の3倍を加えた)
 (3行に第2行を加えた)
 (3行にをかけた)
 (2行に第3行の6倍を加えた)
 (2行を16で割った)
 (1行に第3行の倍を加えた)
 (1行に第2行の3倍を加えた)
 (1行と第3行を入れ替えた)
よって、
なお、に上記と同じような操作を行い、最終的にという形になれば、このが連立方程式の解を与えます。



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