東京学芸大数学'08[4]

半径12つの円が図のように異なる2点で交わっている。2つの交点をABとし、弧ABに対する円の中心角の大きさをθ ()とする。斜線をつけた図形をDとし、Dの周囲の長さをLDの面積をSとする。を最大にするθ がただ1つ存在することを示せ。


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解答
短い方の弧ABの長さは(一般角を参照),長い方の弧ABの長さは、円周からθ を引いて、,よって、この2つ分は、
 ・・・@
ABと短い方の弧ABで囲まれる部分の面積は、扇形OABから三角形OABの面積を引いて、
 ・・・A
円からAを除いた部分の面積は,よって、この2つ分は、

 (商の微分法を参照)
ここでとしてもθ を求めることができそうもありません。
そこで、分子だけを抜き出して、
θ によってどのように変化するか調べてみます。分子を、
とおきます。
 (積の微分法を参照)
において、より、で、は単調減少です。θ に値を入れての値を計算してみると、
となっているので、においては,また、の範囲にただ1つの解αをもちます。より、について次の増減表が得られます(関数の増減を参照)
θ0
α
π

0




増減表より、を最大にするθ がただ1つ存在します。

追記.最大最小を調べるために導関数を求めても、導関数がきれいでない、という場合があります。本問では分子を抜き出して調べることにより解決しました。同様の技巧が使える問題に、阪大理
'96後期[2]

に対して、方程式を考える。
(1) この方程式は正の解をただ1つもつことを示せ。
(2) その解をとかくとき、ならばであることを示せ。
(3) を求めよ。

があります。これを考えてみます。
(1) 元の形のままでは厳しいので、両辺を ()で割ります。
とおくと、
とすると、

両辺の対数を考えると、
()
より、以下の増減表が得られます。
x0

0
0

,また、増減表よりとなるので、方程式,つまり、の範囲にただ1つの解をもちます。
(2) ならば'ということは、aの増加関数ということです。
従って、であればであることを示せばよいわけです。
の解なので、
となるのですが、この式から、aの式で表すことはできません。陰関数の微分法によってaの式で表すこともできません。ここで行き詰まります。
そこで見方を変えて、
maの式で表すのではなく、amの式で表すことを考えてみます。
これをaについて解くと、
 ・・・@ (より)
両辺の対数を考えて、

これをmで微分すると、
 (商の微分法を参照)
手に負えない形をしているので、学芸大の問題のように、分子を抜き出してとおきます。

 ( )
よってmの減少関数でより、において

よって、 (逆関数の微分法を参照)
のとき、aの増加関数で、ならばとなります。
(3) @を見るとのとき、となりそうなのですが、は、ならになってしまうかも知れません。ですが、aの増加関数でありなので、のときということはあり得ないはずです。そこで、のときということがないように、aを固定してしまうことを考えます。
(2)よりaの増加関数なので、ある正数をとると、となるaについて

@より
ここで、のとき、
よって、
はさみうちの原理より、
......[]


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