北大数学'10年後期[4]
座標平面上の点を点に移す点の移動f が行列を用いて
で表されるとき、f を1次変換という。このときAを1次変換f を表す行列という。
tを実数とし、座標平面上に3点P,Q,Rをとる。
(1) PをQに移し、QをPに移す1次変換gを表す行列を求めよ。
(2) さらに、gがRをR自身に移すとする。このときのt とRを求めよ。
(3) 上で求めたRのうちであるものについて、集合が集合と等しくなるような1次変換f の個数を求めよ。ただし、P,Q,Rをf で移した点をそれぞれ,,とする。
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解答 1次変換に関する問題ですが、本問では、行列に関する以下の技巧を使います。
2個の1次独立なベクトル,について、
, ・・・@ であれば、
より、@の2式を1つにまとめて、
・・・(*) と書くことができます。
(1) ,より、gを表す行列をBとして、 , (*)を用いて、
を右からかけて(逆行列を参照)、 ......[答]
(2) より、 ∴ ,
両式とも変形すると、同一の方程式、 となり、 ......[答]のとき、R,のとき、R ......[答]
(3)(i) (1),(2)の1次変換gは、,,より、 ・・・@ を満たします。
(ii) 恒等変換e (任意のベクトルについて)を表す行列は、単位行列ですが、,,となるので、@を満たします。 @となる可能性は(i),(ii)以外に、
の4通りしかありません。
∴ を右からかけて、 このとき、
より、となり、@を満たします。 ∴ を右からかけて、 このとき、
より、となり、@を満たします。 ∴ を右からかけて、 このとき、
より、となり、@を満たします。 ∴ を右からかけて、 このとき、
より、となり、@を満たします。
以上より、@を満たす1次変換は(i)〜(vi)の、6個 ......[答]
追記.本問では、行列や3点の座標が具体的に指定されていますが、指定なしで考えてみます。三角形ABCの3頂点A,B,Cの位置ベクトルを,,とし、,は1次独立だとします。s,tを実数として、 とおくことができます。
・・・@ を満たす可能性は、上記で書いたように以下の6通りしかありません。
(ii)は恒等変換で@は満たされます。
(i)が成り立ち、f を表す行列が存在するとして、, ∴ ,は1次独立なのでは正則(逆行列が存在)で、右からをかけて、 としてAが定まります。
となるために、 これよりであれば、@は満たされます。 以下同様に(iii)〜(iv)においてもが存在して1次変換fを表す行列が定まります。 (iii)が成り立つとすると、, となるために、 これより、 かつ ,従って、 または ‘かつ'となりますが、‘かつ'のときにはとなり三角形ができません。
であれば、@が満たされます。 (iv)が成り立つとすると、, となるために、 これより、 かつ ,従って、 または ‘かつ'となりますが、‘かつ'のときにはとなり三角形ができません。
であれば、@が満たされます。 (v)が成り立つとすると、, となるために、 これより、 かつ ,従って、,であれば、@は満たされます。 (vi)が成り立つとすると、, となるために、 これより、 かつ ,従って、,であれば、@は満たされます。 従って、,が1次独立であればf を表す行列が存在し、
であれば、(i)〜(vi)の6個の1次変換が@を満たします。
であれば、(i),(ii)の2個の1次変換が@を満たします。
, または ,であれば、(i),(ii),(iv),(v)の4個の1次変換が@を満たします。
本問では、 とすると、となるので、@を満たす1次変換は6個ある、ということになります。
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