富山大医数学'10[3]

行列で表される座標平面上の点の移動を考える。原点を通る直線l上のすべての点がl上に移されるとき、この移動によってlはそれ自身に移されるということにする。このとき、次の問いに答えよ。
(1) 原点を通る直線で、この移動によってそれ自身に移されるものがちょうど2つ存在するための必要十分条件をabcを用いて表せ。
(2) abc(1)の条件をみたすとき、(1)2つの直線は、直線に関して対称であることを証明せよ。


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解答 1次変換の問題です。x軸に垂直な直線と、そうでない直線(傾きが存在する直線)に分けて考えます。

(1)(i) それ自身に移される直線がのとき、
直線上の点は、tを任意の実数として、と表せます。
これが、再び直線上の点であるために、
直線上のすべての点について、つまり任意の実数tについて、これが成り立つために、
 ・・・@
が必要です。
逆にのとき、つまり、のとき、
直線以外にもそれ自身に移される直線が存在するとします。
直線上の点は、
tを任意の実数として、と表されます。
これが、再び直線上の点であるために、

直線上のすべての点について、つまり任意の実数tについて、これが成り立つために、
 ・・・A
または
が必要ですが、のとき、つまり、のとき、
となり、任意の実数kについて、直線がそれ自身に移される直線となり、「ちょうど2つ存在する」という条件を満たしません。従って、ですが、このときは、Aより、 (直線は)となり、移動Aによってそれ自身に移される直線がちょうど2つ、直線と直線が存在します。よって、@と合わせて、この場合の必要十分条件は、
かつ  ・・・B
(ii) それ自身に移される直線が2本ともの形をしているとき、
直線上の点は、tを任意の実数として、と表されますが、
これが、再び直線上の点であるために、

直線上のすべての点について、つまり任意の実数tについて、これが成り立つために、
 ・・・C
それ自身に移される直線がちょうど2本存在するために、 (のときはCが2次方程式になりません)であってかつ、直線の傾きk2通り存在する、つまり、2次方程式Cが異なる実数解をもつことが必要十分です。よって、
かつ 判別式: ・・・D (2次方程式の解の理論を参照)
B,Dを合わせて、(i)(ii)より、求める必要十分条件は、
......[]

(2) abc(1)の条件をみたすとき、まず、のとき、つまりBのとき、それ自身に移される直線は、直線と直線でこの2直線は、直線に関して対称です。
の場合は、直線の傾きkは、相異なる2実数解を有する2次方程式Cを満たします。
2次方程式Cの2解をとすると、解と係数の関係より、
 ()
直線,即ちと直線は、直線に関して対称です。(証明終)


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