ハミルトン・ケーリーの定理 関連問題
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この項目は、固有値・固有ベクトルを参照してください。
ハミルトン・ケーリーの定理:n次正方行列Aの固有方程式:のxをAに変えた行列の多項式について、 (零行列)
2次の正方行列については、のxをAに変えた行列の多項式について、 (零行列)
[証明] 大学入試では、2次の正方行列に関するものしか出題されないので、以下が記憶されていればOKです。
2次の正方行列について、
∴
n次正方行列Aについて、Aの固有値kは、固有方程式:の解です。
を展開して、と書けたとします。
固有値kについて、となるベクトル(固有ベクトル)が存在し、 ()です。
行列Aが異なる固有値,,・・・, (の解)をもつとき、これらの固有値に対する固有ベクトル,,・・・,は1次独立で、n次元ベクトル空間内の任意のベクトルは、,,・・・,の1次結合の形に表すことができます。
は固有方程式の解なので、です。つまり、
・・・@
これが、n次元空間内の任意のベクトルについて成り立つので、
(証明終)
注1.上記@の部分をもう少し詳しく書くと、という行列を任意のベクトルにかけてになるのなら、は零行列になると言っています。つまり、の成分を,の第j行成分をとして、@は、に対して、 ・・・A が成り立つということです。任意のについて成り立つので、Aの,,・・・,も任意の実数です。任意の実数,,・・・,に対してAが恒等的に成立する条件は、 ()です。即ち、ということになります。
注2.上記では、行列Aが異なるn個の固有値,,・・・,をもつ、つまり、固有方程式が異なるn個の解をもつ場合のみで書いてありますが、固有方程式がl重解をもつ場合(「l重に縮退している」と言います)でも、固有値に対するl個の1次独立な固有ベクトルをとることができる場合には、を示すことができます。
さらに言うと、l重解に対応する1次独立な固有ベクトルがl個未満しか存在しない場合があるのですが、を満たす固有ベクトルに対して、となるベクトルを持ってくれば、のようにできるので、となるように、1次独立なl個のベクトルの組,,・・・,をとることができて、を示すことができます。
行列Aの1次式:の形について、
が、言えます(展開してみればOK)。行列の積は一般には左右を入れ替えると異なる行列になってしまいます(行列の積を参照)が、という形の行列の積では左右を入れ替えても同じ結果(これを、交換可能、とか、可換と言います)となります。
従って、という形で行列の積を扱う範囲においては、行列Aに関する和・差・積の計算を数の計算と同様に行うことができます。
今、固有方程式が、
・・・B
のように因数分解されていたとします。という形で行列の積を扱う範囲においては、数と同じように計算できるので、固有方程式のxを行列Aに置き換えた式も同じように因数分解した形で成立します。
・・・C
つまり、ハミルトン・ケーリーの定理によって書かれた行列の多項式に関する等式では、文字式と同じ感覚で因数分解(数の分解ではありませんが)して良い、ということになります。
但し、注意すべきことがあります。Bより、は言えますが、Cより、とすることはできません。
例えば、,とすると、,ですが、となります。
ハミルトン・ケーリーの定理は、以下の例のように、行列の多項式の次数を下げることに利用されます。
例1.のとき、を求める。
[解答] 行列の成分をそのまま使ってを計算するのでは損をします。
ハミルトン・ケーリーの定理より、
∴
∴
......[答]
例2.のとき、 ・・・@ が成り立つ。 (), ()の値を求める。
[解答] ハミルトン・ケーリーの定理より、 ・・・A
@,Aを係数比較して、,とやってしまうと、不十分解になってしまいます。
例1.と同じように、を消去する、という方針で臨みます。
Aより、
@に代入して、
・・・B
ここで、であれば、
∴ ,
であれば、B式をで割って、
とおくと、
これを@に代入すると、
∴
のとき、
∴ ,
のとき、
∴ ,
以上より、 ......[答]
例3.のとき、 ()を求める。
[解答] ハミルトン・ケーリーの定理より、
行列で割り算ができれば、をで割ればよいのですが、残念ながら数と同じような感覚で割り算を実行することはできません。
そこで、行列Aをxに置き換えてできる多項式で割り算を行います。
をで割った余りを,商をとして、
・・・@ (多項式の除算を参照)
@で、とすると、 ・・・A
@で、とすると、 ・・・B
B−Aより、
A×3−B×2より、
@のxをAに戻すと、
......[答]
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