同時分布
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箱の中にAと書かれたカードが3枚、Bと書かれたカードが2枚入っています。袋Aには赤球1個、白球2個、青球3個が入っており、袋Bには赤球3個、白球1個、青球2個が入っています。カード5枚を引くのは同様に確からしく、袋の中の6球を取り出すのは同様に確からしいとします。箱からカードを1枚引いて、カードに書かれている袋から球を1個取り出すとします。カードA,カードBを引くそれぞれの場合に、袋から赤球、白球、青球を取り出す確率を表にすると、以下の表(*)のようになります。
このように、Xが取り得る値、A,B,また、Yが取り得る値、赤、白、青のすべての組に対してそれぞれ確率が定まるような分布を、X,Yの同時分布と言います。
一般的に、,として、確率変数Xの取り得る値,確率変数Yが取り得る値について、確率が以下の表(**)のように定まり、,,,であれば、この分布がX,Yの同時分布です。
確率変数X,Yの平均(期待値)は(確率分布を参照)、
,
表(**)の分布に従う確率変数X,Yの和となる確率変数の平均(期待値)は、
となります。「和の期待値は期待値の和」になっています。
また、a,bを定数として、確率変数の平均(期待値)は、
2つの事象A,Bにおいて、事象Aが起こるか起こらないか、ということが、事象Bの起こる確率に影響しないとき、事象Aと事象Bは互いに独立である、と言います。このとき、事象Aと事象Bがともに起こる確率は、
となります。それに対して、事象Aが起こるか起こらないか、ということが、事象Bの起こる確率に影響するとき、事象Bは事象Aに従属する、と言います。このとき、事象Aが起きたという条件の下に事象Bが起こる確率を(条件付確率と言います)として、事象Aと事象Bがともに起こる確率は、
となります。表(*)の分布は、例えば、Aと書かれたカードを引いて赤球を取り出す確率は、Aと書かれたカードを引く確率と、Aと書かれたカードを引くという条件の下に赤球を取り出す確率の積、つまり、になっていて、赤球を取り出す事象が、Aと書かれたカードを引く事象に従属しています。このとき、確率変数Xと確率変数Yとは独立ではありません。
仮に、表(*)の分布で、袋Aも袋Bも袋の中に、赤球1個、白球2個、青球3個入っているとすれば、赤球を取り出す確率、白球を取り出す確率、青球を取り出す確率は、カードAを引くか引かないかに依存しなくなります。この場合には、確率変数Xと確率変数Yとは互いに独立です。
表(**)の分布で、 ()となる事象と ()となる事象が同時に起こるとき、この2つの事象が独立であれば、となる確率は、となる確率に影響せず、かつとなる確率は、となる確率は、となる確率の積になります。つまり、
このとき、確率変数Xと確率変数Yとは互いに独立です。
表(**)の分布において、確率変数Xと確率変数Yとが互いに独立であるとき、確率変数の平均(期待値)は、
また、このとき、確率変数Xと確率変数Yの和となる確率変数の分散は、
また、a,bを定数として、確率変数の分散は、
同様に、,が成り立ちます。
確率変数Xの取り得る値(),確率変数Yが取り得る値()に対して、以下の性質をもつ確率が定まるとき、この関係を同時分布と言う。
和の平均(期待値):,また、a,bを定数として、
同時分布において、確率変数X,Yが独立であるとき、
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