京大理系数学'07年前期乙[5]
Aを2次の正方行列とする。列ベクトルに対し、列ベクトル,,・・・を
()
によって定める。あるゼロベクトルではないについて、3以上の自然数mで初めてがと一致するとき、行列は単位行列であることを示せ。
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解答 行列が出てくるので、ハミルトン・ケーリーの定理で次数下げを行うか、固有値・固有ベクトルを考えるかです。固有値では、という条件を扱いにくいので、次数下げを考えることにします。
まず、行列Aのべき乗が、行列Aの1次式で表せること、つまり、kを2以上の整数として、を、
(Eは2次の単位行列、,は実数)
という形に表わせる ・・・(*) ことを、数学的帰納法で示します。
(Oは2次の零行列)よって、
,として、 (,は実数、高校の範囲では行列の成分は実数です)と表せます。 (T)より、
よって、,とすれば、,は実数で、これより、
と表せます。 (T),(U)より、2以上の整数kについて、と表せます。
(*)より、 ・・・@ と表せます。
から、
・・・A
(i) のとき、 両辺にAをかけて、
・・・B
以後、くり返しAをかけることにより、
であり、は実数なので、
このときBより、となり、という条件に矛盾します。よって、この場合は不適です。 (ii) のとき、Aより、
以上より、行列は単位行列です。
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