早大教育数学'08年[4]
座標平面上で次のような変換fを考える。
f:原点を中心として正の向きに角θ だけ回転し、y軸について対称移動をし、y軸の正方向に1だけ平行移動する。
点に変換fをn回繰り返し行って得られる点をと表す。次の問いに答えよ。
(2) ならば、点の列,,,・・・,,・・・ は、ある直線上に等しい間隔で並ぶことを示せ。 (3) とする。すべての点()が1つの直線上に並ぶようなθ の値を求めよ。ただし、とする。
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解答 ベクトルを、2行1列の行列としてと書くことにします。
この問題は、論理的にややこしいですが、実際の作業は計算ばかりです。短気を起こさずに忍耐強く取り組んでください。
(1)は、この問題では、たまたまになるので話が簡単にすみますが、ふつうは2項間漸化式のようにやっていくことになるでしょう。
なお、1次変換を参照してください。
(1) まず、点に変換fを施すとどうなるか、ということを調べます。 を原点を中心として正の向きに角θ だけ回転すると、回転を表す行列をとして、 に来ます。これをy軸について対称移動すると、x座標の符号が変わり、対称移動を表す行列をとして、 に来ます。さらに、y軸正方向に1だけ平行移動すると、y座標に1を加えて、
に来ます。
点に対して変換fを行ってに来るとすると、 ・・・@ ここで、,と置き換えて、2項間漸化式のようにできないか、というアイデアも浮かびますが、となったときに、となり、が存在しないので、うまく行きません(逆行列が存在するような問題なら、行列の累乗を求めることにより、2項間漸化式のように解くことができます)。
ここでは、@を繰り返し用います。 ・・・・・・
・・・A ところで、
より、
(a) mが正の奇数のとき、 (b) mが正の偶数のとき、 そこで、nが奇数か偶数かで場合分けして、
(i) nが奇数のとき、の中に、奇数、偶数ともに、個ずつあるので、Aより、 ∴ ......[答] (ii) nが偶数のとき、の中に、奇数が個、偶数が個あるので、Aより、 ∴ ......[答]
・・・B
・・・C B×−C×として、nを消去すると、 これは、点が、直線: ・・・D の上にあることを意味します。また、
より、点の列,,,・・・,,・・・ は、直線D上に、等間隔: で並びます。
(3) (2)において、 または ,つまり、においてはのとき、 ()がどうなるかを調べます。(1)(ii)を用いて、 ・のとき、, となり、は、直線上に並びます(このときも、Dは、 となるので、(2)が成り立っています)。 ・のとき、,で、はすべてとなります。Dは直線を表さなくなります。 だとすると、Dは、 ・・・E すべての点 ()が1つの直線上に並ぶので、少なくとも、は、E上にあります。(1)(i)の結果を用いて、 , これを、Eのx,yに代入すると、
整理して、
∴ においては、より、
が条件をみたすかどうか、確認します。 (i) のとき、Eは、 ・・・F nが偶数のときは、(2)より、がF上に位置することはわかっています。nが奇数のとき、(1)(i)より、,
これをFのx,yに代入すると成り立つので、はF上の点です。
従って、すべての点 ()が1つの直線上に並びます。 (ii) のとき、Eが直線を表さなくなります(実はは、点列がE上に並ぶ「必要条件」ではない)が、 nが偶数のとき、上記より、はすべてです。nが奇数のとき、(1)(i)より、,
となり、すべての点 ()が、直線上に並ぶので、条件に適します。 よって、 ......[答]注.本当は、“ かつ ”の場合、つまり、の場合は、別に検討するべきですが、あたかも必要条件であるかのように出てきてしまうので、条件に適することを確認しておけばOKです。試験場でまとめきれるか、ということはありますが、論理的にきちんと整合した解答が知りたけば、旺文社入試問題正解を見て頂くとよいと思います。
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