長崎大物理'08[3]

次の文章の  に適当な語句または数式を入れよ。
電車の軌道が東西方向に、道路が南北方向にそれぞれ直線的に配置され、交差している。軌道と道路が交差する踏切を原点
Oとし、東西方向にx軸、南北方向にy軸をとる。電車は振動数の警笛を鳴らしながら、西から東の方向へ一定の速度で走行している。いま、電車が原点から東へ ()の位置Qにさしかかっている。ただし、音速はとする。
電車が位置
Qを通過するとき、踏切の位置にいる観測者Aに聞こえる警笛音の振動数は あ であり、とは異なっている。この現象を い という。
電車が位置
Qを通過したあとに、踏切から南への位置Pにいる観測者Bに聞こえる警笛音の振動数は次の手順で求められる。
位置
Qで発した警笛音が位置Pに到達するのに要する時間は う であり、その間に電車は位置まで進み、その移動距離 え である。また、その間に発した警笛音の波の個数は お 個である。位置Pにいる観測者Bに聞こえる警笛音は間に お 個の波が入った音であり、その波長は か となる。したがって、観測者Bに聞こえる警笛音の振動数は き となる。


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解答 近似について何の指示もない空所補充問題なので、試験会場では悩むだろうと思います。私なら、試験監督を呼んで、「この問題には近似についての指示はないのでしょうか」と確認しますが、内向的な受験生では損をさせられるかも知れません。

() 観測者は静止していて音源が速さVで遠ざかるので、ドップラー効果の公式より、観測者Aが聞く警笛音の振動数は、
 (遠ざかるので低い音になり、です)
......[
]
() ドップラー効果
() 右図より音波が伝わる経路の長さは、
音速cで伝わるので、位置Qで発した警笛音が位置Pに到達するのに要する時間は、

......[]
() 時間の間の電車の移動距離は、

......[]
() 間に存在する波の個数は、時間の間に電車が発した警笛音の波の個数です。振動数秒間、波を発するので、波の個数は(波動現象を参照)

......[]
() 観測者Bが聞く警笛音の波長は、距離を波の個数で割ったものです。

 ・・・@
近似をしないのであれば、これを解答にすればよいのですが、音速c程度,電車の速さVは時速程度としてなので、は微小量と考えて良さそうです(リニア・モーターの新幹線電車になると微小と言えなくなってきますが)を無視すると電車が止まっているとして考えるのと同じことになってしまうので、は残し、を無視することにします。

......[]
注意.さらに、hを微小量として、という近似を行うと、
 ・・・A
ということになります。
() 観測者Bが聞く警笛音の振動数は、波の公式より、

......[]
注意.()でAまで近似していれば、
 ・・・B
ということになります。Bは、とすると、より、
となり、電車の速度の音波の伝わる方向の成分がなので、ドップラー効果の公式そのままになります(音がPQと伝わる間の電車の移動を無視していることに相当します)
ドップラー効果を原理から考えている問題趣旨として、出題意図は、公式そのものを答えさせたいのではないだろうと考え、上記では、これを解答としませんでした。
何を正解にしているか、どう採点しているか、わかりませんが、こういう不明確な出題をするのであれば、空所補充形式にせずに記述式の出題にするべきだと私は思います。
そもそも、
()を微小量としてAまで近似するのであれば、()は、
とするべき(これでは音源静止で観測者が遠ざかる場合と同じになってしまいます)だ、ということになり、()()でつじつまが合わないことになります。
@の段階で
マクローリン展開を用いて近似するのであれば(高校物理では、こんなことまで考える必要はありません) (ABは定数) として、

マクローリン展開: より、
この問題では、この式のxABを、1と入れ替えて、微小量2乗以上の項を無視すると、
となり、Aの形になります(つまり、正規の近似では、Aにおいては無視されていない)


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