北大物理'11年前期[3]

以下の文章中の (1) から (9) に適切な数式または等式を入れ、 (a) (b) には、図3の選択肢から適切な向きを選び記号で答えよ。

1 図1は、波長,周期の水面波を上から見たものである。この波は、y軸に平行な山と谷の波面を持つ平面波として+x方向に進んでいる。その上空に観測者がいて、波を見ていた。
観測者Aが−x方向に速さで進んでいた。波の速さが (1) なので、観測者Aが波の山の上から次の山の上に来るまでにかかる時間(観測者Aから見た周期) (2) となる。
次に、観測者
Bが+x方向から反時計回りに角度α ()の向きに速さで進んだところ、観測者Bからは波が止まって見えた。このときの速さは (3) である。

2 図2のように、水深の異なる領域TとUが直線を境界として接している。領域Tを進んでいた波長,速さの平面波が、境界に入射角θ で入射し、屈折した。領域Uにおける波の速さがであるとき、その波長は (4) となる。屈折角は関係式 (5) により決まる。
次に図3のように、境界を平らな壁とし、同じ入射角θ の波を反射させた。このとき、反射波は入射波と同じ速さで (a) の向きに進む。したがって、入射波と反射波の山の波面が交差する点Aは、 (b) の向きに動く。

3 図4のように、2つのスリットを持つ平らな壁に、波長の水面波が入射角で入射した。波は各スリットから壁の右側に球面波として広がった。各スリットの幅は狭く、以下では幅を無視する。なお、2つのスリットの間隔はで、壁の両側で波の速さは等しいものとする。
壁の右側で2つのスリットから等しい距離にある点Pを考える。壁に達した入射波の隣り合う山と山の壁に沿った距離 (6) であることから、点P2つの球面波が弱め合うためには、m0以上の整数として、スリットの間隔を (7) とする必要がある。このとき、図のように、壁と平行で点Pを通る直線上にあり、点Pからの距離がの点をQとすると、点Qでは波が弱め合っていた。線分PQ上に波が弱め合う点が、点PQ以外にn個あるとき、点Pと壁の距離dnの間の関係は (8) となる。これより、 (9) と求めることができる。


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解答 問3では、壁の両側で経路差を考える必要があります。スリットを通過しても水面波の波長は変化しないことに注意してください。

1(1) 波長周期の水面波の速さは、 (波の公式を参照)
......[]
(2) 観測者Aから見た水面波の速度は、周期は、
......[]
(3) 観測者B速度x軸方向成分は,これが水面波の速度に一致するので、
......[]

2(4) 領域Uにおける平面波の波長とすると、領域Tと領域Uとで平面波の振動数は変わらないので、
......[]
(5) 領域T,Uでの屈折率をそれぞれnとして、屈折の法則より、
平面波の速さは屈折率に反比例するので、
以上より、
......[]
(a) 入射波と反射波を少し動いた状況を右図に描いてみます。右図より反射波の進む向きは、() ......[] (波の反射を参照)
(b) 右図赤矢印より点Aの進む向きは、() ......[]

3(6) 右図より、 ∴
......[]
(7) 上のスリットを,下のスリットをとすると、なので、両スリットを通過する水面波の点Pに至る経路差は、壁の左側に生じます。壁の左側での経路差(右図赤色太線)は、右図より、
Pで弱め合う条件は(二重スリットを参照)
 ・・・@

......[
]
(8) 右図より、両スリットより通過する水面波の壁から右側での点Qに至る経路差は、
壁の両側で経路差は、
Qは点Pから番目の弱め合う点なので、点Qで弱め合う条件は、
 ・・・A
A−@より、
......[] ・・・B
(9) Bより、
2乗して、
......[]


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