T での蒸気圧を,での蒸気圧をと記す。ピストンのみでおもりを乗せないときに内部の圧力がで、ピストンにおもりを乗せたときにになるようにしたい。とを求めよ。重力加速度の大きさをとする。
U 圧力でのの水のモル体積(当たりの体積)をとする。この温度でおもりをのせた状態でのシリンダー内の水の深さを求めよ。なお、ヒーターの体積は無視できる。
V 装置全体を断熱材で覆い、ピストンにおもりを乗せたまま、はじめであった水をヒーターでゆっくりとになるまで加熱する。このとき、水の状態は図3−1のA点からB点に移る。からまでの水の定圧モル比熱は温度によらず、であるとする。水をにするためにヒーターで発生させるジュール熱を求めよ。なお、シリンダー、ピストン、おもり、断熱材など、水以外の物体の熱容量は無視できるものとする。
U 圧力でということは、問題文の図のA点の状態にある、ということです。この状態においては、水は全量液体です。水の体積はでになるので、水の深さdは、
......[答]
V からまでは、水は全量液体の状態にあるので、蒸発に必要な熱を考える必要はありません。モル比熱の式により、の水をにするのに必要な熱は、
......[答]
W 水が水蒸気に変わるときに体積が増加するのですが、ここではストッパーがあるために、全量の水が水蒸気に変わるわけではなく、一部が水のまま残ります。水の体積と水蒸気の体積を合わせた体積がシリンダーの体積になります。
水蒸気の体積は,水の物質量はなので体積は ∴
......[答]
X の水を水蒸気にするために必要な熱は、あたり必要なので、
......[答]
Y ピストンがストッパー達して、おもりをストッパー上にずらしたときに、水が残っているので、図3−1でまだBの状態にあります。ピストンに働く力は、重力と水蒸気の圧力による力になりますが、なので、ピストンがストッパーに押しつけられた状態になります。この状態は水蒸気の温度がからになるまで続きます。この間、水蒸気と水が共存しています。水蒸気の圧力はからまで減少し、問題文の図においては、共存線上をBからCまでたどることになります。になったときに、ピストンに働く力のつりあいが成立し、以後少しでも水蒸気の圧力が下がれば、ピストンはストッパーから離れます。装置全体をゆっくりと冷やすという想定になっていて、Wの問題文では「水は少しずつ水蒸気に変化していく」と書かれているので、水蒸気から水への変化も少しずつ進むと考えるべきです。温度のまま、水蒸気は一気に水になったりせずに、徐々に水へと変わり、ピストンは、ゆっくりと下降し、この間、水蒸気と水が共存するので、図3−1のC点の状態に留まることになります。水蒸気が全量水に変わり水面に接する位置に来たところで、圧力を維持して温度がからまで下がりピストンは静止します。