名大理系数学'08[4B]

Aの中に赤玉と白玉がそれぞれ4つ入っていることと、袋Bの中に赤玉3つと白玉2つが入っていることが分かっている。
(1) Bから2つの玉を取り出すとき、取り出される赤玉の個数の期待値を求めよ。
(2) Aから3つの玉を取り出し、そのあと袋Bから2つの玉を取り出す。その5つの玉のうち赤玉が3つである確率を求めよ。
(3) Aから3つの玉を取り出したあとで、2つの玉を袋Aから取り出すかあるいは2つの玉を袋Bから取り出すかのどちらかを選択できるとする。できるだけ多くの赤玉を取り出そうと選択したとき、最終的に取り出される赤玉の個数の期待値を求めよ。


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解答 本問のような問題では、以下の(1)に書くように2通りの考え方があります。両方ともマスターするようにしてください。
(3)の問題文は、「できるだけ多くの赤玉を取り出そう」と判断するタイミングがいつなのかが不明確です。最初に判断してしまうのでは、「袋Aから3つの玉を取り出したあとで」という指示の意味がなくなるので、「できるだけ多くの赤玉を取り出そうと選択したとき」の前に、「袋Aから取り出した赤玉の個数により」を補い、「袋Aから取り出した赤玉の個数により、できるだけ多くの赤玉を取り出そうと、袋Aまたは袋Bを選択したとき」というように読んでください。
Aから3つの玉を取り出したときの赤玉の個数により、袋ABを選択したあとに赤玉が2個出る確率、1個出る確率が変化してしまうので注意が必要です。

(1) 袋から玉を取り出したり、くじを引いたりする問題では、2通りの考え方があります。数列の問題になっていて、連立漸化式を作るような場合は解法1,玉の個数がn個となっていたり、取り出し方の場合分けが複雑な場合は解法2,を選択すると良いでしょう。この問題では、どちらの解法でも大差ありません。
(i) 解法1 (1個ずつ玉を取り出しながら確率を考える)
Bから、まず1個の玉を取り出すとき、それが赤玉である確率は、5個の玉の中に3個の赤玉があるのでです。白玉を取り出す確率は、5個の玉の中に2個の白玉があるのでです。
1個めに赤玉を取り出すと、袋Bには赤玉2個と白玉2個の4個の玉が残ります。ここで2個めの玉を取り出すとき、それが赤玉である確率はです。白玉である確率もです。
1個めに白玉を取り出すと、袋Bには赤玉3個と白玉1個の4個の玉が残ります。ここで2個めの玉を取り出すとき、それが赤玉である確率はです。
以上より、袋
Bから2つの玉を取り出すとき、
赤玉が
2個になるのは、赤、赤と取り出すときで、その確率は、
赤玉が
1個になるのは、赤、白と取り出すか、白、赤と取り出すときで、その確率は、
よって、求める期待値は、
......[]
(ii) 解法2 (最初に玉を取り出す順番に並べてしまい、並べた順に取り出す、と考える。並べ方を数えることになる。なお、組み合わせを参照)
Bから玉を取り出すとき、取り出す順に玉を並べることにします。
赤玉
3個と白玉2個の並べ方は、5個の玉の置き場所のうち、どの3個の置き場所を赤玉にするか、と考えると、通りあり、その各1通りは同様に確からしい。
・赤玉3個と白玉2個を取り出す順に並べるとき、袋Bから2個の玉を取り出して、その2個がともに赤玉になる並べ方は、最初の2個の玉の置き場所のうち、どの2個の置き場所を赤玉にするか、また、残り3個の玉の置き場所のうち、どの1個の置き場所を赤玉にするか、と、考えると、通り。赤玉2個を取り出す確率はです。
・袋Bから2個の玉を取り出して、そのうち1個が赤玉である並べ方は、最初の2個の玉の置き場所のうち、どの1個の置き場所を赤玉にするか、また、残り3個の玉の置き場所のうち、どの2個の置き場所を赤玉にするか、と、考えると、通り。赤玉1個を取り出す確率はです。
よって、求める期待値は、 ......[]

(2) 以後、上記の解法2で考えます。
Aから玉を取り出すとき、取り出す順に玉を並べると、赤玉4個と白玉4個の並べ方は、8個の玉のどの4個を赤にするか、と考えると、通りあり、その各1通りは同様に確からしい。
Bから3個の赤玉を取り出すことはあり得ないので、袋A,袋Bから取り出す赤玉の個数は以下の3通りの場合があります。
(i) Aから3個、袋Bから0
Aから取り出す3個のうち3個が赤玉で、残る5個のうち1個が赤玉であるように並べる並べ方は、通り。
Bから取り出す2個に赤玉がなく、残る3個のうち3個が赤玉であるように並べる並べ方は、通り。
この場合の確率は、
(ii) Aから2個、袋Bから1
Aから取り出す3個のうち2個が赤玉で、残る5個のうち2個が赤玉であるように並べる並べ方は、通り。
Bから取り出す2個のうち1個が赤玉で、残る3個のうち2個が赤玉であるように並べる並べ方は、通り。
この場合の確率は、
(iii) Aから1個、袋Bから2
Aから取り出す3個のうち1個が赤玉で、残る5個のうち3個が赤玉であるように並べる並べ方は、通り。
Bから取り出す2個のうち2個が赤玉で、残る3個のうち1個が赤玉であるように並べる並べ方は、通り。
この場合の確率は、
以上より、赤玉が3個になる確率は、
......[]

(3) Aから玉を3つ取り出した後、袋Aか袋Bかの選択は以下のようになります。(i)(ii)(iii)(iv)とで異なることに注意してください。
(i) Aから赤玉が3個なら、袋Aの残りは、赤玉1個白玉4個で、以後、袋Bを選択します。
(ii) Aから赤玉が2個なら、袋Aの残りは、赤玉2個白玉3個で、以後、袋Bを選択します。
(iii) Aから赤玉が1個なら、袋Aの残りは、赤玉3個白玉2個で、以後、袋Aを選択しても袋Bを選択しても赤玉の取り出し方は同じです。
(iv) Aから赤玉が0個なら、袋Aの残りは、赤玉4個白玉1個で、以後、袋Aを選択します。
(i)となる確率は、
(ii)となる確率は、
(iii)となる確率は、
(iv)となる確率は、
Aか袋Bを選択した後、袋の中は、(X)赤玉3個白玉2個、になっているか、(Y)赤玉4個白玉1個になっているかのいずれかです。
(1)より、(X)の場合、2個の玉を取り出して、そのうち赤玉が、
2個である確率
1個である確率
0個である確率
(Y)の場合、2個の玉を取り出して、
赤玉が2個になる確率は、
赤玉が1個になる確率は、
さて、袋Aから玉を3個取り出した後、袋Aか袋Bを選択して玉を2個とり、5個のうち、
・赤玉が5個になるのは、(i)の後(X)で赤玉2個を取り出す場合で、その確率は、
・赤玉が4個になるのは、(i)の後(X)で赤玉1個取り出すか、(ii)の後(X)で赤玉を2個取り出す場合で、その確率は、
・赤玉が3個になるのは、(i)(ii)(iii)の場合ですが、いずれも、その後(X)となるので、その確率は、(2)より、
・赤玉が2個になるのは、(ii)の後(X)で赤玉0個を取り出すか、(iii)の後(X)で赤玉1個を取り出すか、(iv)の後(Y)赤玉2個を取り出す場合で、その確率は、
・赤玉が1個になるのは、(iii)の後(X)で赤玉0個を取り出すか、(iv)の後(Y)赤玉1個を取り出す場合で、その確率は、
以上より、赤玉の個数の期待値は、
......[]


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