静岡大理数学'08年後期[5]
は区間で定義された連続関数であり、
を満たすとする。 ()とする。次の問いに答えよ。
(1) ,および が成り立つことを示し、さらにであることを示せ。 (2) nを自然数とし、に対して、は0または1とする。次の等式を証明せよ。 (3) に対して とする。ただし、に対して、はを越えない最大の整数を表す。このとき、 ()および であることを示せ。
(4) ()であることを示せ。
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解答 (2)も数学的帰納法の形にするのが難しいのですが、(3)はさらに難解です。
(1) Aにおいて、とすれば、 Aにおいて、とすれば、
として、Aのxをyとすれば、 ・・・B
A+Bより、
両辺を2で割り、 ・・・C 一方、Aのxをとすれば、 これとCより、,に対して、 ・・・D @において、,とすると、 Dにおいて、,とすると、 ∴
(2) 数学的帰納法だろう、という雰囲気は漂うのですが、問題は、どうやって、数学的帰納法の形にするか、ということです。(1)を使えば、の場合は何とかなるでしょう。 のとき、 が成り立つとして、のときの等式 を導くのに、@,Dを利用することになるだろう、ということは予測がつきます。ここで考えるべきことは、@,Dのx,yを何にするか、ということです。が出てくるので、のときの形と何かを足して2で割ることになるでしょう。すると、という形が出てきてしまいます。
ここに出てくる,,・・・,は、,,・・・,の分子、という意味ではありません。のときのとのときのが同じものでなければならない、という制約もありません。それぞれ、0か1を表す、というだけのことです。であれば、のときと、のときとで、のiは同じ番号になっている必要はありません。
そこで、のときの形が出てくるように、のときの形を、ではなく、番号を1つずらして、と書くことにします。これと (0または1)を足して2で割ったものをと考え、以下のようにします。 よって、,,いずれの場合においても、 が成立します。
(U) のとき、k個の文字,,・・・,(項の番号に意味はありません)をそれぞれ0または1だとして、 ・・・E が成立すると仮定します。
を0または1だとして、@,Dのxを,yをとすると、 よって、のときも成立します。 (T),(U)より、nを自然数として、
が成立します。
(3) ここも数学的帰納法だろう、ということはわかりますが、与えられた数列をどう料理するのか、何をすれば、 ・・・F を示すことになるのか、見えてきません。ガウス記号まで登場するのですが、まずは、問題文の , から出発します。では、,ではどのようになるでしょうか? Aを整数、Bを実数だとして、なので、 です。続けていくと、
などとなるので、
となることが予想できます。これを数学的帰納法で導くようにします。また、という形が出てくるので、Fにをかけてみると、 ・・・G となりますが、,,・・・,,,,・・・ は、それぞれ0または1です。また、より、すべての自然数iについてとなることはないのです。すべての自然数iについてなら、初項,公比の無限等比級数の和がとなることから、に反します。
よって、数列の中には、となる項があります。
同様に、あるjについてで、となるすべての自然数iについてだとすれば、これは、で、となるすべての自然数iについてであることと同じです。
従って、Gの,,・・・ の中には0になるものがあり、 つまり、
・・・H ここで、指数と項番号を1ずつずらすと、
・・・I H−I×2より、
これで、先に予想した形が出てきます。これで、この設問の枠組みが見えてきました。
問題文の漸化式で与えられる数列,について、数学的帰納法により、 であることを示します。
(T) のとき、ですが、 Jでとすると、 となります。
また、よりです。
また、
よって、のとき成立します。 (U) のとき、J,K,,Lが成立すると仮定します。 です。
・・・N M,Nより、
よって、のときにも成立します。 (T),(U)より、すべての自然数nについて、J,K,,Lが示せました。
Lより、 “ (m:整数) ⇔ ”より、 ∴ で割って、 (nがすべての自然数であることに注意)
(4) と、をみたす任意のxについて、(3)より、 の形に表せば、(2)より、
よって、が連続な関数であることから、
追記.は、曲線上の2点,を通過する直線の方程式です。
曲線上の2点,を通過する直線の傾きはです。
曲線上の2点,を通過する直線の傾きはです。
だとして、曲線上の2点を通過する直線の傾きが増加するとき、つまり、
であるとき、曲線は「下に凸」である、と言います。このとき、であることが平均値の定理を使って証明できます(曲線の凹凸を参照)。曲線上の2点を通過する直線の傾きが減少するとき、つまり、
である場合には、曲線は「上に凸」である、と言います。このときはです。
ここで、がx,がy,がだとすると、なので、曲線が下に凸であれば、
となり、
が成立します。この不等式は、下に凸な曲線上の点は、この点の両側に位置する曲線上の2点,の中点よりも下にある、ということを意味しています(図に描いてみれば明らかです)。
同様に、上に凸な曲線上の点は、この点の両側に位置する曲線上の2点,の中点よりも上にあります。この事実は、証明問題などに応用できます(阪大理系'07年前期[2]を参照)。
本問では、
だと言っているのですが、がx,yの存在範囲においては直線的になっていることを意味しています。本問は、結局、直線上の2点を結ぶ直線上の点は、もとの直線上の点になっている、つまり、とは同じ直線になる、ということを言っています。自明のことかも知れませんが、(3)では、2分法(2点の中点を考え、さらに、元の点と中点のそのまた中点を考えていく)のアルゴリズムを数列を使って一般的に考えようとしているので、難解な問題になっています。
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