阪大理系数学'07年前期[2]
次の問いに答えよ。
(1) xが正の数のときを示せ。 (2) p,q,rがを満たす正の数のときを示せ。 (3) a,b,cが相異なる正の数でを満たすとき を示せ。
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解答 誘導通りにやって行けばできますが、全く別のアプローチでも解答可能なので下記の「追記」で紹介します。
(1) 絶対値がついたままではやりにくいので、絶対値記号内の正負で分けて考えることにします。
となるのは、のときです。
となるのも、のときです。
そこで、のときとのときとで分けて調べることにします。
とおきます。 (i) のとき、 よって、は減少関数で、 (関数の増減を参照)∴ ・・・@ (ii) のとき、 @,Aより、xが正の数のときとなります。
(2) 技巧を使うまでもないと思います。
∴ ・・・B C+D+Eより、
この右辺をBを用いて書き換えると、
∴ 注.上記では、相加平均、相乗平均の関係(不等式の証明を参照)を使うことを避けたので、p,q,rの中に負数があっても、与不等式は成立します。
(3) a,b,cは相異なるので、として一般性を失いません(他の場合でも、3数の中の最小のものをa,最大のものをc,残りをbと入れ替えて考えればOK)。 (1)で示した不等式において、とすると、より、 両辺に ()をかけると、 ・・・F 同様にして、(1)の不等式で ()とすることにより、 ・・・G 両辺に ()をかけると、 左辺を、として、 ・・・H F+G+Hより、
・・・I この右辺を調べるために、(2)と同様、の両辺を2乗します。 (2)の結果より、のとき、ですが、 ∴ Iより、
追記.(1)の不等式に絶対値記号がついているので、(3)の答案では、と仮定せずに、「(1)において、,,として、F,G,Hが言える」とだけ書いておくのが賢明でしょう。
この問題のように文字が複数個出てくるのような形の不等式の証明問題で有効な技巧として、関数の凹凸に着目する、というものがあります。軽快でいて強力なので身につけておきたい技巧です。微分法の不等式への応用(2)も、3個以上の文字に関する相加平均・相乗平均の関係など、重要な例を紹介しているのでぜひ参照してください。
この問題の(2)でも関数の凹凸を利用した証明が考えられます。曲線は、,で下に凸、曲線上のどの点で接線を考えても、曲線は接線から上に来ます。
()として、における接線は、
曲線上の点,,は接線から上に来るので、
@+A+Bより、
となります。
この問題の(3)は、(1)が強力なヒントになっているので(1)を利用して答えればよいのですが、仮に(3)がいきなり出てきたような場合、関数の凹凸を利用することができます。
における接線は、のとき,より、 ・・・D
においてより、曲線は接線から上に来ます。
においてより、曲線は接線から下に来ます。
として、曲線上の点はより接線Dより下に来るので、
両辺に ()をかけて、
・・・E 曲線上の点はより接線Dより下に来るので、
両辺に ()をかけて、
・・・F 曲線上の点はより接線Dより上に来るので、
両辺に ()をかけて(不等号の向きが変わります)、
・・・G E+F+Gより、
あとは上記の解答と同じく、よりを導き、
となります。
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