横国大工数学'09[4]

放物線上に2PQをとる。次の問いに答えよ。
(1) tがすべての実数を動くとき、直線PQが通過する領域を求めよ。
(2) tの範囲を動くとき、線分PQが通過する領域を求め、図示せよ。


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解答 xy平面上における直線の方程式、あるいは、曲線の方程式がxy以外の助変数を含んでいて、この助変数がいろいろな値をとる、という設定の問題があります。このとき、助変数の値が変化すると、直線や曲線がxy平面上を動き回るのですが、動き回る範囲を求めたい、という場合の対処法を、この問題で考えてみます。
(2)は、「直線PQ」の通過範囲ではなく、「線分PQ」の通過範囲なので、xの範囲、tの範囲が複雑にからんで、いろいろと検討することがあり、きちんとやろうとすると難問です。

直線PQの傾きは、
直線
PQの方程式: (直線の方程式を参照)
整理して、
 ・・・@
の各値に対する直線PQを右図に示します。これで問題の概略はつかめます。

(1) tがすべての実数をとって変化するときに直線@が通過する領域を求める、という問題なのですが、各tの値に対して直線がどう動くかを見ようとすると、概略はつかめますが、正確な議論はできません。
@をxの関数と見るのではなく、x座標を固定してt2次関数と見ることにより、そのx座標のところでy座標がどういう範囲の値をとるのか、という見方をするようにします。
@の右辺をとおくと、

 ・・・A
tがすべての実数を動くとき、において最大値をとり、最大値以下のすべての値をとります。

x座標においてy座標がという範囲の値をとりうる、ということは、x座標を動かすと、直線@は領域:を動くということです。直線PQが通過する領域は、
......[] (図示すると右図黄緑色着色部(境界線を含む))
別解.@をt2次方程式
 ・・・B
と見て、tが実数であることから、これが、実数解をもつ条件、
判別式:

として領域を求めることもできます。

(2) tの範囲を動くときには、直線PQの通過範囲を考えるためには、Aで与えられる関数の範囲においてとりうる値を考えることになります。
のグラフはに関して対称なので、の範囲に対して軸位置がどういう位置関係にあるか、ということで以下の4通りに場合分けします(右図参照)
(i) が範囲の左側にあるとき、,つまり、
(ii) が範囲内の中間よりも左側にあるとき、,つまり、
(iii) が範囲内の中間よりも右側にあるとき、,つまり、
(iv) が範囲の右側にあるとき、,つまり、
また、ここでは、「直線PQ」の通過範囲ではなく、「線分PQ」の通過範囲なので、線分PQ上の点のx座標の範囲を考える必要が出てきます。
より、
tに関して、のほかにという条件がつくので、という範囲(範囲Aとします)という範囲(範囲Bとします)の共通部分を考えなければいけません。
(a) のとき、となるので、範囲Aと範囲Bには共通部分はありません。
(b) のとき、となるので、範囲Aと範囲Bの共通部分は、
(c) のとき、となるので、範囲Aと範囲Bの共通部分は、
(d) のとき、となるので、範囲Aと範囲Bには共通部分はありません。
従って、(i)(iv)(a)(d)とから、xの範囲を、
()  ((i)かつ(b))
()  ((ii)かつ(b))
()  ((iii)かつ(c))
()  ((iv)かつ(c))
4つの範囲に分けて考えることになります。
より、各場合について、のとり得る値の範囲は以下のようになります(2次関数の最大最小を参照)
() のとき、より、は、,つまり、
という範囲の値をとります。
() のとき、より、は、,つまり、
という範囲の値をとります。
() のとき、より、は、,つまり、
という範囲の値をとります。
() のとき、より、は、,つまり、
という範囲の値をとります。
以上まとめて、線分PQが通過する領域は、
 ()
 ()
 ()
図示すると、右図黄緑色着色部(境界線を含む) ......[]
注.点PQは放物線上を動く点なので、領域の境界線としてが出てきます。また、きちんとやれば、上記のようになるのですが、もう少し、簡単に済ませたければ、線分PQは、直線PQを放物線で切り取ったときの弦で、直線PQのうちを満たす部分だから、として、(i)(iv)の場合わけのみで、の範囲でのとり得る値を、
(i) のとき、
(ii) のとき、
(iii) のとき、
(iv) のとき、
として求め、との共通部分、とすることになります。
別解.2次方程式B:を考えるのであれば、Bがの範囲に解をもつ条件を考えます(2次方程式の一般論を参照)
まず、重解を含めて2解を有するとき、
() 判別式:
() 軸:
() 端:
()かつ()かつ()より、
かつかつかつ ・・・C
の範囲に1実数解を有するとき、
または ・・・D
CまたはDでは「直線PQ」の通過範囲になってしまうため、上記の注.のようにして、「線分PQ」の通過範囲は、“CまたはD”かつである、とすることになります。


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