北大理系数学'10年後期[1]

次の連立不等式の表す領域をDとする。
(1) 領域Dを図示せよ。
(2) がこの領域Dを動くとき、の最大値Mと最小値mを求めよ。また、Mmを与えるDの点を求めよ。
(3) aを実数とする。点が領域Dを動くとき、が点で最大値をとるようなaの範囲を求めよ。


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解答 線形計画法の問題です。

(1) 領域Dの境界線は、
 ・・・@
 ・・・A
 ・・・B
@,Aを連立すると、
整理して、

のときのとき
@,Bを連立すると、


のときのとき
@,A,Bはで交わります。領域
Dは円@から内側で、
において、とすると成り立つので、
3つの境界線で囲われた領域のうち、原点を含む部分で、図示すると、右図黄緑色着色部(境界線を含む)

(2)  ・・・C
とおくと、傾きy切片kの直線を表します。点(1)で図示した領域Dを動くので、直線Cは領域Dと共有点をもたなければなりません。こうなるのは、
(i) 直線Cが円のの部分で接するときのkの値
から、
(ii) 直線Cが点を通るときのkの値
までの間の値を、kがとるときです。
(i)は、@とCを連立して、
整理して、
 ・・・D
@とCは接するので、この2次方程式は重解をもちます。
判別式: (2次方程式の一般論を参照)

このときDは、
 (複号同順)
となる解は、,このとき、
(ii)は、Cにを代入して、
(i)(ii)より、
左側の不等号の等号は、のとき、右側の不等号の等号は、のときに成立します。以上より、
,これを与える
Dの点は,これを与えるDの点は ......[]

(3)  ・・・E
とおくと、傾きy切片kの直線を表します。点が領域Dを動くので、(2)と同様、直線Eは領域Dと共有点をもちます。
kが最大値をとるので、kが最大値をとるとき、直線Eはを通り、
 ・・・F
このとき、を通る直線が領域D2つの領域に分けるような直線であると仮定すると、2つの領域のいずれか一方の領域内の点を通り直線Eと平行な直線(傾き)y切片はkよりも大きくなります。ということは、k最大を与える点ではない、ということになり矛盾を生じます。つまり、kの最大値を与える直線Eが領域D2つの領域に分けることはありません。
ということは、直線Eの傾きは、において円@と接する直線の傾きと、直線Aの傾き
2までの間の値をとるということです。
直線Eがにおいて円@と接するとき、と直線Eとの距離は
5となり(円と直線の位置関係を参照)
 (点と直線の距離を参照)
これとFより、

 (直線Eの傾きは)
......[]


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