奈良県立医大数学'10[4]

nを正整数とする。
(1) となる定数,・・・,を求めよ。
(2) さらにとする。1より小さい正の実数a0に近づくとき、極限は、正負いずれの無限大にも発散せず、有限の値をとることを証明せよ。(但し、極限値を具体的に求める必要はない。また、であることは証明なしに用いてよい)
(3) 極限値を求めよ。


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解答 部分分数分解をテーマとした問題です。(2)は、具体的な値を求める必要はない、というヒントから、はさみうちを応用して考えます。

(1) 一気に片付けるのは大変なので、一つずつやっていきます。
のとき、より、
のとき、
とおくと、

 ・・・@
これより、

になりそうなので、n1つ変化したときの違いを調べてみます。
これで、以下のように数学的帰納法を利用した答案にまとめることができるでしょう。

となる定数,・・・,が、
であることを数学的帰納法により示す。
(T) のとき、より、
よって、成り立つ。
(U) のとき、となる定数,・・・,が、
だと仮定する。
両辺にを加えて、
左辺は、
となり、
よって、のときも成り立つ。
(T)(U)より、
となる定数,・・・,は、 ......[]

(2) (1)より、
両辺にをかけて、
の範囲で積分すると、
 ・・・A
 ・・・B
においては、
なので、

 ・・・C

よって、Cより、

これとA,Bより、
 ・・・D
ここで、とすると、より、

従って、

Dにおいて、のとき、左辺も右辺もある有限確定値に収束するので、中辺のも有限確定値に収束します(左辺と右辺が異なる値に収束するので、の値はわかりません)

(3) (2)の場合かと一瞬思いますが、被積分関数にxがかかっているので、(2)が利用できるわけではありません。従って、をどうやって積分するかを考えなければいけません。被積分関数は、xの分数式と対数関数の積になっていますが、xの分数式の部分がの形にならないか、と、考えてみます。つまり、

を部分分数に分けるために、
とおくと、

これより、
 (分数関数の積分を参照)

 (D:積分定数)
これで、部分積分法により、の計算が行えます。

2項の定積分は、再び、部分分数に分けるために、@において、
とすると、

以上より、

ここで、とすると、より、
......[]


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