阪大理系数学'11年後期[2]

またはとする。nを自然数とし、1以上n以下の整数値をとるm項の数列のうち、に対してを満たすものの個数をとする。
(1) を求めよ。
(2) を満たす自然数jを求めよ。
(3) 極限値を求めよ。


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解答 '85[1]を思わせるような問題ですが、結局は、空間の格子点の数を求める問題です。は平面上の格子点、は空間内の格子点、ということです。(3)は、厳密に計算しなくても、はさみうちにすることを想定して不等式の形を作るようにしましょう。

まずは、
(1)の意味がつかめないと先に進めないので、として、具体的な場合を調べてみます。
を考えるので、とします。を満たす
kは、のみで、となります。
のとき、ともに
1しかとり得ないのですが、これでは、は満たされません。です。
のとき、は、
12をとり得るのですが、を満たすのは、の場合のみで、です。
のとき、は、
123をとり得るのですが、を満たす数列は、のみで、です。
のとき、は、
1234をとり得るのですが、を満たす数列は、のみで、です。
という組み合わせは、
nが偶数のときには可能ですが、nが奇数のときには可能でないので、nが偶数か奇数かで場合分けして考えることになります。

(1) jを自然数とします。
のとき、
 ・・・@
を満たす自然数の組の個数を数えることになります。なのでです。この範囲のの値を1つ決めると、@を満たす自然数は、通りの値をとり得ます。よって、
 (等差数列のj項の和。等差数列を参照)
のとき、
 ・・・A
を満たす自然数の組の個数を数えることになります。なので、は整数ではないので、となります。この範囲のの値を1つ決めると、Aを満たす自然数は、通りの値をとり得ます。よって、
 (等差数列の項の和)
以上より、
......[]

(2) では、なので3項の数列を考えることになります。題意より、
では、
従っては、を満たす自然数からなる数列の個数です。
では、
従っては、を満たす自然数からなる数列の個数です。
これより、は、,つまり、
(は整数でない)となる自然数の組の個数に一致します。となる自然数の組の個数は、(1)よりとなります。よって、
 ・・・B
を満たす自然数jは、 ......[]
また、では、
従っては、を満たす自然数からなる数列の個数です。
と同様に、は、,つまり、となる自然数の組の個数に一致します。よって、
 ・・・C

(3) B,Cより、jを自然数として、


・・・・・・

辺々加えると、のとき、
 ・・・D (階差数列を参照)
同様に、のとき、
 ・・・E
を満たす自然数の組は存在しないので
D,Eより、にかかわらず、
 ・・・F
また、kの偶奇で場合分けして考えるのは面倒なので、はさみうちにすることを考えて、(1)の結果を利用し、


 (Σの公式を参照)
よって、Fは、
 ・・・G
のときのときですが、なので、Gの左辺はを代入したものと比較し、Gの右辺はを代入したものと比較します。
Gの左辺について、
Gの右辺について、

各辺をで割り、
ここで、とすると、はさみうちの原理より、
......[]


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