一橋大数学'06年前期[5]


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1,2341つずつ記された4枚のカードがある。これらのカードから1枚を抜き出し元に戻すという試行をn回繰り返す。抜き出したn個の数の和をとし、積をとする。
(1) となる確率をnで表せ。
(2) 8で割り切れる確率をnで表せ。

解答 (1)は一般性を持たせて考えようとすると難問です。

(1) n回試行を行い、抜き出したn個の数の和が、となる場合の数をとして、まず、についてどうなるかを調べてみます。
(i) のとき、
4枚のカードのどれを抜き出してもを満たすので、通りです。
(ii) のとき、
 ・・・@ となるのは、以下の場合です。
1回目に1が出たとき、
2回目は、4枚のカードのどれを抜き出しても@を満たし、4通り。
1回目に2が出たとき、
2回目は、123を抜き出すときに@を満たし、3通り。
1回目に3が出たとき、
2回目は、12を抜き出すときに@を満たし、2通り。
1回目に4が出たとき、
2回目は、1を抜き出すときに@を満たし、1通り。
よって、@を満たすのは、通りです。
(iii) のとき、
 ・・・A となるのは、以下の場合です。
1回目に1が出たとき、
2回目、3回目の2回の数の和が5以下になるときにAを満たし、(ii)より、通り。
1回目に2が出たとき、
2回目、3回目の2回の数の和が4以下になるときにAを満たし、(ii)と同様に(和が5になる場合を除いて数える)考えると、通り。
1回目に3が出たとき、
2回目、3回目の2回の数の和が3以下になるときにAを満たし、(ii)と同様に(和が5,和が4になる場合を除いて数える)考えると、通り。
1回目に4が出たとき、
2回目、3回目の2回の数の和が2以下になるときにAを満たしますが、これは、2回目も3回目も1を抜き出すときで、1通り。
よって、Aを満たすのは、通りです。
ここまで来ると規則性が見えてきます。




 (Σの公式を参照)
きっと、





になるだろう、と、予測がつきます。このまま続けていくと、
 ・・・B
ということになりそうですが、これを数学的帰納法で示すのでは、答案が書きにくくて苦労することになります。
そこで、方針転換をして、Bを違う見方で眺めることにします。
なので、Bを少し変形すると、
 (組み合わせを参照)
となり、は、異なる個のものからn個を選ぶ組み合わせの数になりそうです。
そこで、
(i)(ii)(iii)がそう見えるような場合の数の数え方を考えることにします。例えば、(ii)の場合では、として、



として10通りと数えていますが、これを、異なる個から2個を選ぶ組み合わせの数として、1から5の数字から2文字を選ぶ選び方を数えると、



のようになります。2つの数え方を見比べると、後者では、2回目の数字を、1回目と2回目の数字の和に入れ替えていることに気づきます。1回目に抜き出す数字14に、2回目以降14を加えていくので、i回目()に抜き出す数字をとして、
で組み合わせの数を数えても、
で組み合わせの数を数えても、11の対応が取れるので、場合の数に変わりはありません。しかも、,・・・,は、
なので、互いに相異なるn個の数字です。
なので、であれば、は、1からまでの異なる個の数字からn個の数字を選ぶことになり、この組み合わせの数は、通りです。
入試会場で書く答案としては、以下のようにまとめることができるでしょう。


n回の試行の中の第i回目()に抜き出す数字を (1234のいずれか)とし、
11に対応させると、
より、は、のとき、異なる個の数字からn個の数字を選んだものである。その選び方、すなわちとなるの選び方は、通りある。
の選び方は通りあって、そのどの
1通りも同様に確からしい。
よって、求める
確率は、
......[]

(2) 8で割り切れる場合を考えると場合分けが大変なので、余事象:「8で割り切れない」方を考えることにします。
8で割り切れないのは、以下の3つの場合です。
(i) n回すべて奇数の13を抜き出す場合、通り。
(ii) 回奇数の13を抜き出し、1回だけ2または4を抜き出す場合、2または4n回の試行のどの回で抜き出すかがn通りあり、通り。
(iii) のとき、回奇数の13を抜き出し、2回だけ2を抜き出す場合、2n回の試行のどの2回で抜き出すかが通りあり、通り。
よって、のとき、8で割り切れない場合の数は、
 ・・・C
のときは、14のどの数字を抜き出しても8で割り切れず、8で割り切れない場合の数は4通りですが、Cでとすると4になるので、すべてのnについてCとしてOKです。
全事象の場合の数は
(1)と同様に通りで、求める確率は、
......[]

追記.上記(1)は、一般的に、「1からkまで数字が書かれたk枚のカードから1枚を抜き出して元に戻す試行をn回繰り返すとき、抜き出した数字の和となる確率を求めよ。」という問題にも対応できるような方針で考えました。ですが、一般性を捨てて、となる場合(n回すべて1)となる場合(11回だけ2)となる場合(11回だけ3になるか、または、122回出る)となる場合(11回だけ4になるか、または、1231回ずつ出るか、または、123回出る)、各場合の数を数え上げれば、平凡に解答できます(この方がやり易い)


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