京大理系数学'23年前期[6]

p3以上の素数とする。また、θを実数とする。
(1) の式として表せ。
(2) のとき、となるような正の整数mnが存在するか否かを理由を付けて判定せよ。


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解答 nを自然数として、の整式として表し、としたものをn次のチェビシェフの多項式と言います。
となっています。
なので、のグラフのの部分は、の正方形の中にぴったり収まります。
以下の解答で、漸化式@を用いるのはチェビシェフの多項式の問題では常套手段なので、ヒントがつくことも多いですが、記憶しておく必要があります。


(1)

......[]
......[]

(2) のとき、となるような正の整数mnが存在するとします。
(1)からすると、で表すとどうなるか、ということがポイントになりそうです。その際に、の整式で表せることを帰納的に示すことになります。そのために、和を積に直す公式を用いて、漸化式を作ることにします。
 ・・・@
これより、例えば、として、
ここで、例えば、とすると、

をかけると、

右辺は、3以上の素数p2の倍数ですが、16pの倍数ではないので、これで矛盾が導けそうです(整数を参照)
さて、こうして矛盾を導くためには、
n次の整数係数の整式であることと、その整式の最高次の項の係数が素数pの倍数ではないことを示しておく必要があります。
2次の整数係数の整式で表され、最高次の項の係数は2(1)より、はそれぞれ3次,4次の整数係数の整式で表され、その最高次の項の係数はとなることから、n次の整数係数の整式で表され、最高次の項の係数がであることが予測されるので、これを数学的帰納法で証明します。
(T) のとき、となるので、予測は成立します。
(U) のとき、となるので、予測は成立します。
(V) のとき、予測が成立すると仮定すると、k次の整数係数の整式で表せ、最高次の係数は,また、次の整数係数の整式で表せ、最高次の係数はです。
(係数,・・・,は整数)
(係数,・・・,は整数)
と書けますが、@より、


これは、次のの整式であり、係数,・・・,は全て整数であって、最高次の項の係数はです。よって、のときも予測は成立します。
(T)(U)(V),数学的帰納法より、自然数nに対して、予測は成立し、n次の整数係数の整式で表され、最高次の項の係数はです。
p3以上の素数として、のとき、となるような正の整数mnが存在すると仮定すると、より、
 (,・・・,は整数)
より、
をかけると、

右辺中括弧内は整数で、右辺は3以上の素数pの倍数ですが、左辺はpの倍数ではなく(整数を参照)、この等式は成立し得ないので、正の整数mnが存在する、とした仮定は誤りです。即ち、となるような正の整数mnは存在しません。



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