東大理系数学'02年前期[3]
xyz空間内の原点Oを中心とし、点Aを通る球面をSとする。Sの外側にある点Pに対し、OPを直径とする球面とSとの交わりとして得られる円を含む平面をLとする。点Pと点Aから平面Lへ下した垂線の足をそれぞれQ,Rとする。このとき、
であるような点Pの動く範囲Vを求め、Vの体積は10より小さいことを示せ。
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解答 問題の状況設定はz軸のまわりに回転しても変化がありません。従って、Pのy座標をとし、zx平面上で考えておいて、あとからz軸のまわりに回転させて空間図形として考える、というようにもできます。ここでは、空間図形のまま、やってみます。なお、下記の補注を参照してください。
2つの球が出てきますが、それぞれの球面上の点の座標をと表すことにします。
球面Sの方程式は、 ・・・@ (球面の方程式を参照)
OPを直径とする球の中心はTにあります。球の半径はOTです。
OPを直径とする球面の方程式は、
・・・A @−Aにより、2つの球面の交わりとして得られる円を含む平面L上の点の座標をとして、平面Lの方程式は、
整理して、
点PとLとの距離がPQです。
(下記(*)を参照) 点AとLとの距離がARです。
より、 ・・・C
・のとき、C ⇔ Dの表す図形は、を中心とする半径の球面から外側であってかつ、を中心とする半径の球面から内側の部分です。
点Pは、球面Sの外側の点なので、 ・・・E
DかつEを満たす点はありません。
・のとき、C ⇔ Fの表す図形は、を中心とする半径の球面から外側であってかつ、を中心とする半径の球面から内側の部分です。
点Pは、球面Sの外側の点なので、 ・・・G
を満たします。FかつGを満たす点は右図黄緑色着色部分にあります(白マルを除く)。
球面は、球面Sと点Aで接し、内接します。球面は、球面Sと点Aで接し、外接します。
従って、FかつGにより、点Pの動く範囲Vは、
原点を中心とする半径1の球面より外側であってかつ、を中心とする半径の球面から内側であってを除く部分 ......[答]
Vの体積は、半径の球の体積から、半径1の球の体積を引いたものになります。
Vの体積:
補注 上記では、球面の方程式、平面の方程式、点と平面の距離の公式を用いています。
点Cを中心とする半径rの球面上の点Pは、を満たします。
座標を用いて書くと、より、
これが、点Cを中心とする半径rの球面の方程式です。
と垂直で、点Dを通る平面上の点Pは、,即ち、を満たします。
∴
として、を座標を用いて書くと、
と垂直な平面の方程式は、と表すことができます。
点Aと平面:との距離hは、点Aから平面に下ろした垂線の足をHとして、 // より、と表せるので、
より、
Hは平面上の点なので、のPをHに代えた式も成り立ちます。
∴
∴
これより、
∴ ・・・(*)
これが、点Aと平面:との距離の公式です。上記の東大理系数学'02前期[3]では、PQとARを求めるのに使っています。
また、上記では、@−Aとして、2球の交円を含む平面の方程式を求めています。
2球の方程式が,だとします。
h,kを適当な実数だとして、
・・・H は、2球の交円を含む平面、あるいは球を表します。なぜなら、交円上の点は、
, をともに満たすので、Hも満たすからです。
Hが球を表すのは、Hが,,という項を含むときです。
Hが平面を表すのは、Hが,,という項を含まないときです。
,の,,の係数がともに1なら、,とすれば、Hから,,の項を消すことができます。
つまり、
は、2球の交円を含む平面を表します。上記では、平面の方程式Bを求めるのに、この技巧を使っています。
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