東大理系数学'07年前期[3]
座標平面上の2点P,Qが、曲線 ()上を自由に動くとき、線分PQを1:2に内分する点Rが動く範囲をDとする。ただし、のときはとする。
(1) aををみたす実数とするとき、点がDに属するためのbの条件をaを用いて表せ。 (2) Dを図示せよ。
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解答 (1) 2点P,Qの座標を,とします。問題文の指定より、,です。 PQを1:2に内分する点Rの座標は、です。
より、,とおくことができます。つまり、 , ・・・@ @より、qを消去すると、より、 整理すると、
∴ ・・・A
となり、pに関する2次方程式が得られます。
一方、@より、pを消去すると、より、 整理すると、
∴ ・・・B
となり、qについても2次方程式が得られます。
このタイプの問題では、AとBが同じ形の2次方程式で、2次方程式の2解がp,qなのだ、という問題が多いのですが、この問題では、内分比がPとQに関して対称にできていないので、pに関する2次方程式Aと、qに関する2次方程式Bの形が食い違ってしまいます。
ここが、この問題の考えにくいところです。
2つの2次方程式の意味を考えてみます。点Rを通過する直線と曲線との交点を考えます。2交点できたとして、Rは2交点を結ぶ線分を1:2に内分する点です。2交点のうちRに近い方の点をP,遠い方の点をQとして、Aは点Pのx座標を求める
2次方程式、Bは点Qのx座標を求める
2次方程式になっています。
特別な場合として、Rが曲線上に来る場合は、と考えよう、と、問題文は言っているわけです。
を通過する直線とは共有点をもちます。少なくとも、A,Bは実数解を持たなくてはいけないので、判別式はともに0以上です(2次方程式の一般論を参照)。
Aの判別式:
∴ Bの判別式:
∴ どちらも同じ結果となりましたが、この不等式は、P,Qを曲線上の点とするとき、PQを1:2に内分する点が、この曲線から上側になければならないことを意味しています。
,より、
(i) まず、右図2のような状況を考えると、点Rを通過する直線と曲線との交点をP,Qとして、RがPQを1:2に内分する場合が2通りあり、
そのいずれも、P,Qは曲線のの部分に来ます。この状況を
(A)とします。 (ii) 右図3のような状況を考えると、RがPQを1:2に内分し、P,Qとも曲線のの部分に来る場合は1通りです。このとき、
Pのx座標pについて、を満たすものが2通り、
Qのx座標qについて、を満たすものが1通りであることに注意してください。この状況を
(B)とします。 ただし、この場合、P,Qのどちらかのy座標はRのy座標以下なので、Pの座標pについて、を満たすものが1通り、
Qの座標qについて、を満たすものも1通り、ということは起こりえないことにも注意してください。
何が言いたいかと言うと、だからと言って、2次方程式Aがの範囲に実数解を持っていても、P,Qがともに曲線のの部分にくるとは限らないのです。
これが、この問題のポイントです。単なる「
2次方程式の解の配置」の問題ではありません。
問題文の指定に適するのは、上記の状況(A)と状況(B)の場合です。
状況(A)においては、2次方程式A,Bともに、の範囲に2個の実数解を持ちます。
状況
(B)においては、2次方程式は、の範囲に、A,Bのうち、一方が2個の実数解をもち、他方が1個の実数解を持ちます
(とは限らないので、Bが2個の実数解をもつ場合も検討する必要があります)。A,Bがともに1個の実数解をもつ、ということはありません。
点Rが曲線上に来るときも含めるので、「2個の実数解」の場合には重解の場合を含みます。
既に見たように、A,Bとも、実数解を持つ条件は、 ・・・C
以下、この条件下で考えます。
pの2次方程式Aが、の範囲に2実数解を持つのは、
として、
,かつ、
,かつ、
,よって、
(2次方程式の解の配置を参照) より、 ∴
pの2次方程式Aが、の範囲に1実数解を持つとき、
,よって、
(中間値の定理を参照) ∴ ・・・E
qの2次方程式Bが、の範囲に2実数解をもつのは、
として、
,かつ、
,かつ、
,よって、
∴
qの2次方程式Bが、の範囲に1実数解を持つとき、
,よって、
∴ ・・・G
状況(A)は、CかつDかつF
状況(B)は、“CかつDかつG”,または、“CかつEかつF”ここで、“CかつEかつF”を満たすのは、,のみで、“CかつDかつF”の場合に含まれます。
よって、求める条件は、CかつDかつ“FまたはG”
Dを図示したときの境界線は、
・・・(a) ・・・(b) ・・・(c) ・・・(d) ・・・(e)
これより、求める条件は、
のとき、
のとき、
のとき、
のとき、 ......[答]
(2) 領域Dを図示すると、右図の黄緑色部分(境界線を含む)。
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