東大理系数学'20年前期[4]
n,kを、を満たす整数とする。n個の整数
() から異なるk個を選んでそれらの積をとる。k個の整数の選び方すべてに対しこのように積をとることにより得られる個の積の和をとおく。例えば、
である。
(1) 2以上の整数nに対し、を求めよ。 (2) 1以上の整数nに対し、xについての整式
を考える。とをxについての整式として表せ。 (3) をn,kで表せ。
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解答 眼力ある受験生なら、問題文を見ただけで、基本対称式、例えば、 (3文字から1文字を選んで和を作る), (3文字から2文字を選んで作った積の和), (3文字から3文字を選んで作った積)のでき方を思い出せるかも知れませんが、一般の受験生では、いきなりこの問題を見せられても、何も見えず、どこから手を付ければよいかさえわからないかも知れません。こういうときは、n,kに数値を代入して、感覚をつかむところから始めます。
まず、のとき、1個の整数、から異なる1個を選んで積を作ると、個の積の和は、となります。後で、見通しをよくするために、と書かないで、問題文の例の通り、と書くようにします。問題文がヒントになっているのです。
のとき、の2通りの可能性があります。2個の整数は、として、です。のときは、2個から1個を選んで積を作ると、個の積の和は、 ()となります。のときは、2個から2個を選んで積を作ると、個の積の和は、 ()となります(組み合わせを参照)。
のとき、k = 1,2,3の3通りの可能性があります。3個の整数は、として、です。 のとき、3個から1個を選んで積を作ると積の和は、 ()のとき、3個から2個を選んで積を作ると積の和は、 ()のとき、3個から3個を選んで積を作ると積の和は、 () のとき、4個の整数は、です。は問題文に出ていますが、 (), (), (), ()
(1) 上記で、個の積の和から考えると、個の積の和は、
(2) ,がxの整式で表される、ということは、は、でも、でも割り切れる、ということです。 より、 と、因数分解できるので、,より、
これで、問題の背景が見えてきます。
の場合、,,として、,,となるので、一般のnの場合、,,・・・,でn文字についての基本対称式を作っているわけです。 となるので、
のようになっているのだろうと察知できます。最初から気づければ、本問はひたすら手を動かすだけの計算問題ですが、試験会場で、,,と調べるうちに気づく、というので充分に間に合います。
を証明します。 ()は、n個の整数から異なるk個を選んで積をとり、k個の整数の選び方すべてに対して作った積(個ある)の和です。つまり、 ・・・・・・
()は、個の整数から異なるk個を選んで積をとり、k個の整数の選び方すべてに対してとった積(個ある)の和です。さて、 ・・・@ まず、xの係数は、
の係数は、 つまり、n個の整数から異なるk個を選んで積を作り、k個の整数の選び方すべてに対して作った積(個ある)の和、
と、n個の整数から異なる個を選んで積をとり、個の整数の選び方すべてに対して作った積(個ある)の各々にをかけたのもの
との和になっていて、結局、
個の整数から異なるk個を選んで積をとり、k個の整数の選び方すべてに対して作った積(個ある、に注意)の和
になっているので、 ・・・A の係数は、
これより、@は、 従って、 ......[答] ・・・B よって、 ......[答] ・・・C 注.上記のようにの証明を計算して示すのでは、時間がかかる上に、答案用紙に書ききれなくなります。実戦的には、Aの説明を書いて、B,Cを導く程度で妥協するべきです。あるいは、として、 と因数分解できる、と、最初から断定して答案を書き始めるのが賢明です。
(3) Cより、
の係数(上式の二重線)は、 ・・・D
Aでkをに代えると、,よって、,Dに代入すると、
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