東大理系数学'97年前期[2]

nを正の整数、aを実数とする。すべての整数mに対して、
が成り立つようなaの範囲をnを用いて表せ。


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解答 状況設定が複雑な難問です。難問はすべてパスして構わない、と、強引なことをおっしゃる先生もいますが、どの問題も難問に見えてしまうときには、手をつけるしかありません。どうやって、アプローチして行くか考えてみましょう。
この問題がどうして難問になってしまうか、と言うと、
nが正の整数というだけで具体的な値が与えられていないことと、mが「すべての実数」ではなく「すべての整数」になっていることにあります。
そこで、まず、この嫌な条件設定をやめ、もう少し簡単になるように、
nに具体的な数を入れ、整数mではなく、実数xとして不等式を考えてみます。とすると、
 ・・・@
がすべての実数xに対して成り立つaの範囲を求めよ、という問題になります。
左辺を
xの関数とみて平方完成するのであれば(2次関数を参照)

ということになります。
本問に戻って、同じように、



すべての実数xについてとなる条件は、右辺の第2(とおきます)が正となることです。なので、
 ・・・A
nは正整数なので、より、
 ・・・B
という条件が得られます。
ですが、求める条件は、「すべての実数
xについて」となることではなく、「すべての整数mについて」となることです。
Aの条件を考えたのは、の最小値だからです。が最小値をとるのは、のときです。
mを整数としての最小値を考える場合には、は整数とは限らないので、を満たす整数kに対して、のうちの小さい方を最小値としなければいけません。
ところで、はAの条件下で、
aがBの範囲の上限と下限の値に近づくときに次第に小さくなります。の最小値を考えるのでが最小になるところ、Bの範囲の上限と下限においての最小を調べてみます。
のとき、を最小とするxの値は、 (整数)であって、最小値について、とすれば、 ・・・C という条件が出てきます。
のときはは整数ではありません。
より、を満たす整数kです。の大小を比較すると、
より、
従って、最小値について、
 ・・・D
C,Dより、
となります。

試験会場で実戦的には中間点狙いの上記くらいで充分だと思いますが、牽強付会の感は免れないので、厳格を期すのであれば、以下のようにします。

@の不等式を考える上で、もう一つ有効な手段があります。
定数の分離という技巧です。必ず成功するという保証はありませんが、本問では有効です。
@であれば、

(の場合)
などと変形して、がとり得る値の範囲を考えるのです。
nを正の整数、aを実数として、すべての整数mに対して、
となるのであれば、
 ・・・E
右辺の分子は、正負いずれの値もとります。mは整数で、 (は整数でない)となり得ないので、(i) (ii) ,と場合分けします。
(i) のとき、なので、
E  ・・・F
のとり得る値を調べるために、関数を考えます。
 (商の微分法を参照)
また、より、
x


n
0×0
×

増減表より(関数の増減を参照)のとき、 (等号成立はのとき)
よって、Fが成り立つために、 ・・・G
(ii) のとき、なので、
E  ・・・H
(i)の増減表を利用すると、のとき、より、
(等号成立はのとき)
よって、Hが成立するために、 ・・・I
G,Iより、
......[]


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