早大理工数学'23[2]

赤玉と黒玉が入っている袋の中から無作為に玉を1つ取り出し、取り出した玉を袋に戻した上で、取り出した玉と同じ色の玉をもう1つ袋に入れる操作を繰り返す。以下の問に答えよ。

(1) 初めに袋の中に赤玉が1個、黒玉が1個入っているとする。n回の操作を行ったとき、赤玉をちょうどk回取り出す確率を ()とする。を求め、さらにを求めよ。
(2) 初めに袋の中に赤玉がr個、黒玉がb()入っているとする。n回の操作を行ったとき、k回目に赤玉が、それ以外ではすべて黒玉が取り出される確率を ()とする。kによらないことを示せ。


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解答 当然nは自然数です。難問ではないので、nkrbなどに具体的数値を入れて状況を把握し、確実に得点しましょう。(2)は、「kによらないことを示せ」なので、具体的に確率を求めなくても解答できると思いますが、以下では確率を求めています。

(1) 1回目()の状態で、赤玉を取り出す確率も黒玉を取り出す確率もです。1回目に赤玉を取り出す(赤玉を1回取り出す)と、赤玉は2個、黒玉は1個になります。1回目に黒玉を取り出す(赤玉を0回取り出す)と、赤玉は1個、黒玉は2個になります。赤玉2個になる確率、赤玉1個になる確率、ともにです。よって、赤玉を1回取り出す確率0回取り出す確率は、
......[] ・・・@
赤玉2個、黒玉1(●●)の状態で、赤玉を取り出す(3個のうち2個のどれかを取るので確率。結局、赤玉を2回取り出すことになります)と、赤玉3個、黒玉1個になりますが、この確率です。
赤玉
1個、黒玉2(●●)の状態で、黒玉を取り出す(確率,赤玉を取り出す回数は0)と、赤玉1個、黒玉3個になりますが、この確率はです。
赤玉
2個、黒玉1(●●)の状態で黒玉を取る(確率)か、赤玉1個、黒玉2(●●)の状態で赤玉を取る(確率)を取ると、赤玉を取り出す回数は1回で、赤玉2個、黒玉2個になりますが、この確率はです。
よって、
......[]

これで、n回操作後、赤玉の個数が、1個、2個、・・・、n (赤玉を取り出す回数は、それぞれ、0回、1回、・・・、)になる確率は等しくになるのではないか、と予測できます。
初めに袋の中に赤玉が
1個入っていたので、赤玉をk回取ると、1回取るごとに赤玉が1個増えるので、n回操作後の赤玉の個数は、n回操作中に赤玉を取り出した回数k1を加えです。

そこで、


命題:n回の操作を行ったとき、赤玉をちょうどk回取り出す確率、つまり、n回操作後に赤玉が個になっている確率は ()である。

数学的帰納法で示します。

(T) 1回操作後に赤玉が2個になっている確率、1個になっている確率、つまり、1回の操作で、赤玉を1回取り出す確率、0回取り出す確率は、@より、です。命題は成立します。
(U) m回操作後に赤玉が()になっている確率、つまり、n回の操作を行ったとき、赤玉をk回取り出す確率がであると仮定します。
m回操作後に、赤玉と黒玉を合わせて、最初の2個からm個増えて個になります。赤玉をk回取り出すと赤玉はk個増えて個になります。黒玉は個あります。回目に赤玉を取り出す確率は,黒玉を取り出す確率はです。

回操作後の赤玉の個数が最大値個の場合、最小値
1個の場合、その間で2個〜(赤玉を取り出した回数は、1m)の場合に分けて調べます。
回操作後に赤玉が個になるのは、
m回操作後に赤玉が(m回の操作すべてで赤玉を取り出したので確率)入っていて、回目に赤玉を取り出す場合です。このとき、回の操作で赤玉を取り出すことになります。その確率は、個の玉から個の赤玉のどれかを取り出すので、
回操作後に赤玉が1個になるのは、m回操作後に赤玉が1(m回の操作すべてで黒玉を取り出したので赤玉を取り出した回数は0,確率は)入っていて、回目に黒玉(黒玉の個数は)を取り出す場合です。このとき、回の操作で赤玉を0取り出すことになります。その確率は、
回操作後に赤玉が()になるのは、m回操作後に赤玉が個,黒玉が(赤玉を取り出した回数はk,確率)入っているときに黒玉を取り出す(確率)か、赤玉がk個、黒玉が(赤玉を取り出した回数は,確率は)入っているときに赤玉を取り出す(確率)ときです。このとき、回の操作で赤玉をk ()取り出すことになります。その確率は、
以上より、回の操作を行ったとき、赤玉をk()取り出す確率はであり、のときも命題は成立します。
(T)(U),数学的帰納法より、命題が成立します。よって、 () ......[]

(2) 例えば、くらいで考えてみます。1回目に赤玉を取り出し、2回目〜5回目に黒玉を取り出すとき、です。2回目に赤玉を取り出し、それ以外黒玉だとすると、です。同様に、となります。
の分母は、各回の玉の個数の積、つまり、からまでの積になります。分子は、k回目()のところだけ初めの赤玉の個数となり、残りは各回の黒玉の個数,・・・,が並び、となっています。

求める確率、
k回目()に赤玉を取り出しそれ以外のj回目()には黒玉を取り出す確率を考えます。
ちょうど
k回目に赤玉を取り出す確率は、赤黒合わせた玉の個数が(最初個で、回操作をしている),赤玉の個数がr個なので、
となる自然数jについてj回目に、赤黒合わせた玉の個数が個あり、また、黒玉の個数をとして、黒玉を取り出す確率は、
黒玉の個数は、最初b個で、 (赤玉を取り出す)のときを除いて、1ずつ増加し、n回目の前までに、回のうち回黒玉を取り出し個増えて個になるので、黒玉の個数は、の範囲の整数の値をとります。
のときはに限られます。 ・・・A
のとき、の動きに注意して、
(赤を1回目に取り出す)なら、

(赤を2回目に取り出す)なら、


・・・・・・

(,赤をl回目に取り出す)なら、


・・・・・・

(赤をn回目に取り出す)なら、


の分母を,分子をと書き、として、上記を見ると、各回ごとに赤黒合わせた玉の個数が個から1個ずつ増えてn回目に個となり、は、各回の玉の個数の積となり、
は、回目までに、赤玉を1回、黒玉を回取り出し、r (途中、どこか1が抜けることに注意)の積となるのですが、黒玉の個数の積については、黒玉はb個から個まで1個ずつ増えるので、bからまでの積になります。つまり、
よって、 ・・・B
A,Bより、
kによりません。
注.上記では、分かりやすいように、赤玉を取り出す場合と黒玉を取り出す場合を分けて丁寧に書きましたが、試験会場では、をともにと書いて、k回目だけ赤玉を取り出し、それ以外は黒玉を取り出す確率とし、
としてしまうのでないと、答案を書くスペースが足りなくなります。



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