共変微分
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非慣性系(曲がった時空)において、反変ベクトル
を
で微分することを考えます。xを微小変位
させて
,両者での
の差をとって
とすることにより、
とできれば良いのですが、一般座標系では、異なる世界点xと
の間では、言わば座標系の歪みの影響を受けてしまうため、ベクトルの差を取ることができないのです。ちなみに、ローレンツ変換により
→
と変換されるとき、
と表せます。これを
で素直に微分すると、連鎖定理:
より、
・・・@ となります。右辺第1項について、
であれば、第2項だけ生き残って、
となり、
は混合テンソルとして変換されます。平坦な時空におけるローレンツ変換では、
が定数となるので、
となり、
は混合テンソルのように振る舞います。ですが、世界点ごとに
が異なるような変換では、
が混合テンソルにならないので注意が必要です。
そこで、
を世界点
の位置まで平行移動させた
と
の差を取り、
を考えます。
とおくと、
近傍で局所的に平坦だとすれば、
は
と
に比例すると考えられ、比例定数を
とおくと、
・・・A これより、
・・・B
これを共変微分と呼びます。このウェブサイトでは、
と書くことにします(専門書では別の書き方をしていることもあります)。歪んだ空間上では微分は共変微分で考えます。つまり、
反変ベクトルの共変微分:
・・・C
をクリストッフェルの記号と言います。時空の幾何学的状況を表します。テンソルのように見えますがテンソルではありません。
次に、共変ベクトルの微分を考えます。まず、任意の反変ベクトル
と共変ベクトル
のスカラー積
は、平行移動では変化しないので、
Aより、
なので、
右辺の添字のλとμは縮約しているので、入れ替えても値に変化はありません。よって、
は任意の反変ベクトルなので、
・・・D よって、
∴ 
これより共変ベクトルの共変微分は、
つまり、共変ベクトルの共変微分:
・・・E
となります。
2つの反変ベクトル
,
の積
について、Aより、
Cの導出と同様にして、
これより、反変テンソル
の共変微分は、
・・・F 2つの共変ベクトル
,
の積
について、Dより、
Eの導出と同様にして、
これより、共変テンソル
の共変微分は、
・・・G 混合テンソル
の共変微分は、
となります。
Eで、添字のνとμを入れ替えた式とで差をとると、
ここで、ϕをスカラー関数として、
の場合を考えます。
共変微分はテンソルなので、
はテンソルでその差もテンソルであり、ガリレイ系においては通常の微分に一致して左辺は0となり、ある座標系でゼロになれば、他の座標系でもゼロになります。つまり、
・・・H つまり、クリストッフェルの記号の下の添字は交換しても値が変わりません。逆に言うと、Hであれば、ガリレイ系を局所的にとれる(局所慣性系)ということです。
ここで、
を任意の反変ベクトルとして、先の平行移動においてベクトルの4元的長さ
が不変である、という仮定をおきます。世界点xにおける計量テンソルを
,ベクトルを
,世界点
における計量テンソルを
,
を平行移動したベクトルを
として、
,
に、Bを代入すると、
さらに、
を微小量であるとして、
を
で展開すると、
(
の2乗以上を無視) これを代入し、
右辺を展開し、さらに
の2乗以上を無視すると、
中カッコ内について、添字を付け替えることにより、
これを代入し、
で割ると、
を任意の反変ベクトルとしたので、
・・・I 添字を
,
,
と入れ替えて、
・・・J
・・・K I+J−Kより、クリストッフェルの記号は下付添字に関して対称で、計量テンソルは対称テンソル(計量テンソルを参照)なので、
両辺に
をかけると、
,
より、
・・・L こうしてクリストッフェルの記号は計量テンソルを用いて表すことができます。
Cで
,また、Eで
とできれば、共変微分は通常の微分になります。そこでLにより、クリストッフェルの記号を局所的に0にできるような局所慣性系を考えることになります。
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