ローレンツ変換
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ある静止系Kに対して速さvで等速直線運動する座標系
への座標変換を考えます。
K系の座標xが
系の座標
に変換されるとして、
となる変換をガリレイ変換と言います。ニュートンの運動方程式は、ガリレイ変換に対して共変です。ところが、マクスウェルの方程式は、実はガリレイ変換に対して共変ではありません。K系に速度に垂直な磁場(磁束密度B)が存在する場合、
系で静止している電荷qには電磁誘導の法則による起電力
が発生するはずですが、
系では電荷が静止しているのでこの起電力が見えません。アインシュタインは高校生の頃からこの点について疑問を持っていたという伝説がありますが、1905年の論文で、
系には電場
が発生する、と結論しています。これが、アインシュタインの相対性理論の出発点になっています。
電荷や電流が分布していない真空中(誘電率
,透磁率
)では、マクスウェルの方程式は波動方程式となり、伝播速度
の電磁波を表します。伝播速度から光は電磁波の1種であると考えられました。19世紀には、この伝播速度は絶対静止エーテルに対するものだと考えられており、地球上の観測者が絶対静止エーテルに対してどれほどの速度で移動しているかを検出しようという実験が行われましたが、1880年代に行われたマイケルソン・モーレーの実験においても、この速度は検出されませんでした。ローレンツは、観測者の移動方向に長さが縮む(ローレンツ収縮と言います)、として実験結果を説明しました。
これに対して、アインシュタインは、1905年の論文で、物理法則はすべての慣性系で同じものであり、光速
は運動するどの座標系においても一定である、として、ガリレイ変換に代わる、マクスウェルの方程式が共変となる座標変換の公式を導出しました。
ここで、ある慣性系Kに対して、K系のx軸正方向に速さvで進む慣性系
を考え、Kにおけるx座標と時間t と、
におけるx座標
と時間
との間の関係を調べます。
系においてx軸に垂直な方向に時間
の間に光が距離h進むとき、
です。これをK系から見ると、時間t の間に、x軸方向にも距離
だけ進むように見えるので光の進む距離
について、三平方の定理より、
@は、運動している
系における時間は、K系における時間よりも短いことを意味しています。「運動している時計は遅れる」と言われます。
時刻0に、K系と
系の原点が一致していて、原点で光が点灯し、
系において、位置
に置かれた鏡で反射して時刻
に
の原点
に戻ってきたとします。このとき
系で見て、光は往復運動するだけなので、
・・・A です。これをK系から見ると、時刻0に位置xに置かれた鏡(
であることに注意)が時間
の間に位置
に来たときに光が反射するとして、
∴ 
反射した光が時間
の間に、位置
まで来ている点
に戻るとして、光の進む距離は
なので、
光が進む時間について、K系の
が
系の
に対応するので、@より、
Aより、
・・・B
Bは、運動している
系における長さ
は、K系で見ると
となり、短く観測されることを意味しています。こうして、ローレンツ収縮が説明されます。
時刻0において、
系の原点
はK系の原点Oに一致していたとします。
系がK系に対してx軸方向に速さvで移動していたとすると、点
は、K系において、時刻t において位置
にあります。
系における座標
は、K系における
に対応しており、ローレンツ収縮の式:Bより、
これより、
,
・・・C とおくと、
・・・D 一方、K系と
系とを入れ替えて見ると、
系からK系は速さvでx軸負方向に動いているので、xと
を入れ替えるとDの
は
に変わります。即ち、
Dを代入すると、
K系に対して速さvでx軸方向に並進運動している
における4元座標
は、K系の座標
を用いて、
,
として(添字はべき乗の指数ではなく4元座標のどれかを示す番号です。反変ベクトル・共変ベクトルを参照)、行列を用いて表すと、
・・・E
,
と書くと、この
から
への変換をローレンツ変換と言います。ローレンツ変換を表す行列の
成分(
,
)を
と書くと、
,
,
,他は
です。このとき、ローレンツ変換Eを、
と表すことができます。
ミンコフスキー時空(平坦な時空)における世界間隔sは、
として定義されます(計量テンソルを参照)。ミンコフスキー時空における計量テンソルは、
,
,他の成分は0なので、ローレンツ変換:
,
により、
よって、世界間隔の2乗
は、ローレンツ変換に関して不変です。逆に言うと、世界間隔の2乗
を不変にする変換がローレンツ変換です。Cで
のとき、
,
になるので、ローレンツ変換を表す行列
は単位行列
(
のときに1,その他は0となるテンソル)になります。
また、Cでv →
とすると、
,
となり、
となりますが、Cより、
なので、
つまり、
は
の逆行列になっています。また、
だとすると、
,
とみれば、
と書けるので、
と同様の形をしています。つまり、ローレンツ変換
の全体は、単位元
と逆元を持ち、2つの元の積もまたローレンツ変換となるので、群をなします。これをローレンツ群と言います。
注.正確に言うと、Eはローレンツ・ブーストと呼ばれます。正確には、Eに空間的な回転を施したものをローレンツ変換と言い、その変換全体でローレンツ群を作ります。
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