電磁波の発生


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真空の誘電率を,透磁率をとして、電磁波が伝わる速さcは、
で与えられる。

(1) 右図のように、静電容量Cコンデンサー起電力Vの電池に接続すると、コンデンサーの極板には電荷が蓄えられて、回路にも、極板間にも電流は流れません。
(2) 右図のように、静電容量Cのコンデンサー(電荷0とします)抵抗Rを直列に接続し、スイッチを介して起電力の電池に接続し、スイッチを閉じると、電流が流れて次第にコンデンサーが充電されて行きます。電流I,コンデンサーが蓄えている電気量Qとして、キルヒホッフ第2法則より、
従って、回路には、という電流が流れます。
しかし、コンデンサーの極板間は導線で結ばれていないのに、
電流が流れるのでしょうか?
(3) 右図のように、静電容量Cのコンデンサーを、起電力交流電源に接続すると、公式:より、という電流が回路に流れます(容量リアクタンスを参照)
この場合も、コンデンサーの極板間は導線で結ばれていないのに、電流が流れるのでしょうか?

以下、(2)(3)でコンデンサーの極板間は真空だとします。
コンデンサーの
極板面積S極板間距離d,コンデンサー両端の電圧Vとすると、(コンデンサーを参照)(電位・電圧を参照)より、
よって、
この式は、コンデンサーの極板間の電界時間的変化が電流と同じ効果を持つことを意味しています。つまり、何も存在しない空間であっても、電界時間的変化という形で電流が流れるのです。この電流を電束電流(または変位電流)と言います。

導線に
電流が流れると、そのまわりに磁界が発生します。直線電流Iは、r離れた位置に、という大きさの磁界を作ります。磁界の向きは、直線電流の方向を右ねじの進む向きとして、右ねじの回る向きです(右ねじの法則を参照)
であれば、コンデンサーの極板間に
電束電流が流れる場合にも、r離れた位置に、
という大きさの磁界ができるはずです。この磁界は、電界E時間的変化により、時間的に変化します。
電磁誘導の法則によると、磁界の変化によって、磁界を取り巻く回路には起電力を生じます。起電力が生じるということは、その回路に沿って電界が生ずるということです。起電力、つまり、電界の向きはレンツの法則に従い、磁界の変化を妨げる向きになります。(3)のように、コンデンサーに交流電圧がかかっていた場合には、ここで生じた電界もまた、時間的に変化をします。電界時間的変化をすれば、これが電束電流を生んで、さらに磁界を発生させます。
こうして、右図のように、次から次へと、
電界の変化が磁界を生み、磁界の変化が次の電界を生み、この電界の変化がさらに次の磁界を生み、という具合にして、空間に、電界磁界の変化が広がって行きます。こうしてできる波動を電磁波と言います。右図(電界・電流は上向きを正方向とします)では、コンデンサー極板間の電界(右図の状態では正です)時間的変化と電流が、であってかつ、電界時間的変化、即ち電流Iが減少(つまり)している状況から電磁場の変化が右側に進んでいく様子(磁界の振動方向と電界の振動方向が直角になっていることに着目してください)を描きました。以下、段階を追って検討します。
(i) 右図では、正弦波が原点Oのところで位相ゼロとなるように書いてありますが、上側極板に負電荷、下側極板に正電荷が少し残っている状況では、電界はまだ正でゼロになる直前(電界の変化率、つまり、電流は最小になる直前)であって、この後、電流が流れるに従って、上側極板に正電荷、下側極板に負電荷が貯まり、電界は負に変わってきます(図の正弦波は右に動き、原点のところでは、電界は正から負に変化します)
(ii) 原点Oのところでは、右ねじの法則に従い、上から見て時計回りの磁界ができます。右図では、電流I時間変化率がゼロ(電流最小)になる直前で、(上から下向き)ですが、電流はまだ減少(絶対値は増加)の状態にあり、磁界 (上から見て時計回り)も強くなりつつあるので、原点Oの右側では、増加しつつある磁界を抑える向き、つまり、できている磁界と逆向き(上から見て反時計回り)磁界を作ろうとする向きに起電力が起こり、手前から見て時計回りの電界を生じます。このとき、磁界は強くなりつつありますが、強くなる割合は緩和されつつあります。つまりは減少しつつあります。生じる電界の強さE電磁誘導の法則より磁界の変化率に比例し、弱くなりつつあります。
(iii) 手前から見て時計回りの電界が電磁波伝播方向と交わるところ(右図で上向きの電束電流が書かれているところ)では、下向きの電界が弱くなりつつあります。つまり、で弱くなるので0に近づきます。即ちEから0に近づいている過程にあります。よってこの位置では、で、電束電流は上向きです。また、この電束電流が作る磁界は上から見て反時計回りです。
こうして、右図のように電磁波が伝播していきます。なお、右図は、電磁波が伝わる状況を模式的に表したもので、電磁波の波動方程式を解いてある時刻での電界磁界の状況を表したものではないので注意してください。
上記では、定量的な議論を避けましたが、マクスウェルは、電磁波の伝わる
速さcが、
で与えられ、光速に等しくなることを予想していました。この予想は、ヘルツにより実験的に確認されています。詳細は、高校の範囲をはるかに超えますが、電磁波を参照してください。


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