京大物理'13[2]

次の文章を読んで、  に適した式か値を、それぞれの解答欄に記入せよ。問1,問2については、指示にしたがって、解答をそれぞれの解答欄に記入せよ。
なお、以下の設問では、極板等はすべて真空中にあり、真空の誘電率をとする。コンデンサーの極板は極板間距離に比べて十分大きく、極板端での電場の乱れは無視できる。導線や導体の抵抗は無視できるものとし、導線はしなやかで軽く、質量が無視できるとともに、極板の動きに影響を与えないものとする。また、重力加速度を
gとする。

(1) 1のように、極板@と極板Aからなる平行板コンデンサーがある。極板@は固定されており、極板Aは左右に滑らかに動かすことができる。コンデンサーの極板の面積をSとし、極板@には電荷が、極板Aには電荷が蓄えられているものとする()
極板@に垂直で極板Aに向かう方向をx軸とし、極板@の位置を,極板Aの位置をとする()。このとき、コンデンサーに蓄えられているエネルギーW イ である。ここで、極板Aを平行に保ったまま微小距離だけ極板@と反対方向に動かしたあとにコンデンサーに蓄えられているエネルギー ロ である。このエネルギーの変化は、極板@と極板Aが引き合う力に逆らって動かしたために生じたものである。そこで、このエネルギーの変化から極板Aに働く力の大きさを求めると、 ハ となる。

(2) 2のように、極板Bと極板C、および極板Dと極板Eからなる2つの平行板コンデンサーがある。極板Bは固定されている。極板Cと極板Dは質量が無視できる導体の棒で接続されて一体化しており、極板を平行に保ったまま上下に滑らかに動かすことができるものとする。図2のように2つのコンデンサーは直列に接続されており、電圧Vがかかっている。これら2つのコンデンサーは十分離れており、互いにクーロン力を及ぼさない。極板Bと極板Cの面積はともに,極板Dと極板Eの面積はともに,それぞれの極板の質量は面積に比例し、その比例定数をpとする()2つのコンデンサーの極板間距離をともにdとする。このとき、極板Bと極板Cが引き合う力の大きさは ニ である。
いま、極板が引き合う力と重力がつり合うように電圧Vを調整すると、2つのコンデンサーの極板間距離がともにdとなった状態で静止した。このとき、極板の面積 ホ 倍であり、電圧Vは、極板の面積を用いることなく ヘ と表すことができる。

(3) 3のように、極板Fと極板G,および極板Hと極板Iからなる2つの平行板コンデンサーがある。極板Fと極板Iは固定されている。極板Gと極板Hは質量が無視できる絶縁体のバネで接続されており、極板を平行に保ったまま上下に滑らかに動かすことができるものとする。このバネのバネ定数はkである。2つのコンデンサーは十分離れており、互いにクーロン力を及ぼさない。すべての極板の面積はSであり、質量をとする()
いま、極板F,極板Gにはそれぞれの電荷が帯電しており、極板H,極板Iにはそれぞれの電荷が帯電しているものとする()。図中のスイッチは開いており、極板が引き合う力、重力、バネの力がつり合ってすべての極板は静止している。また、2つのコンデンサー極板間距離をともにdとする。このときのバネの自然長からの伸びは、Qを使わずに表すと ト である。
次に、時刻でスイッチを閉じると同時に、極板Gが静止したまま極板Hが単振動を始めるように
qの値を選ぶとともにQを時刻tに応じて適切に制御した。この単振動の中心は極板Hの最初の位置から チ だけ上方にあり、その振幅は リ である。また、振動の周期T ヌ である。
1 極版Fと極板Gの間には引力しか働かないため、極板Hの振幅が大きい場合は極板Gを静止させておくことができなくなる。極板Hが単振動している間、Qを制御することで極板Gを静止させておくことができるqの範囲を求めよ。導出の過程もあわせて示せ。
2 極版Hが単振動している間、極板Gを静止させておくためのQを時刻t の関数として求めよ。導出の過程もあわせて示せ。


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解答 ()()あたりの計算の巧拙が勝負の分かれ目です。(3)1の問題文がうまくないので、かなり悩みますが、極板Hに働く重力も考慮に入れるようにしてください。

(1) コンデンサー静電容量です。電荷qが蓄えられているとき、静電エネルギーWは、 (コンデンサーの過渡現象を参照)
() ......[]
極板Aを動かしたあとの静電容量静電エネルギーは、
() ......[]

(
) ......[]

(2) 極板Bと極板Cの間のコンデンサーの静電容量は、,極板Dと極板Eの間のコンデンサーの静電容量は、直列接続合成容量は、

極板B,C,D,Eに蓄えられる電気量の大きさは、
()の結果を用いて、極板Bと極板Cが引き合うの大きさは、
 ・・・(a)
() ......[]
同様に、 ・・・(b)
一体化している極板Cと極板Dが受けるは、上向きのクーロン力,下向きのクーロン力,極板Cと極板Dが受ける重力,これらのつり合いより、
 ・・・(c)
極板Eが受けるは、上向きのクーロン力,下向きの重力,これらのつり合いより、
 ∴  ・・・(d)
(a)÷(b)より、
(d)より、
(c)より、

() ......[]
この結果と、(b)(d)より、

(
) ......[]

(3) このとき、極板Fと極板Gの間に働くクーロン力は、,極板Hと極板Iの間に働くクーロン力は、となります。
極板Hに働くは、バネの自然長からの伸びxとして、上向きの弾性力,下向きのクーロン力,下向きの重力です。これらの力のつり合いより、
(とします)
(
) ......[]
時刻でスイッチを閉じると、極板Hと極板Iの間に働くクーロン力がなくなり、極板Gが静止したままなので、静止していた極板Hはこのときの位置を振動端として単振動を始めます。単振動の中心は、がなくなったときの、極板Hに働くのつり合いの位置(とします)です。
 ∴
は最初の位置から、
だけ上方にあります。
(チ) ......[答]

()の結果は、振動端振動中心の間の距離、つまり、単振動の振幅です。
() ......[答]
極板Hの
加速度aとして、極板Hの運動方程式は、
 ∴
よって極板Hの単振動の角振動数は、
単振動の
周期は、
() ......[]
1 極板Gに働くは、上向きのクーロン力,下向きの弾性力,下向きの重力です。極板Gが静止しているなら、これらの間に力のつり合いが成立するはずで、
 ・・・(e)
これより、であれば制御可能です。
単振動は、
振動中心とし、振幅なので、
この範囲のxの値に対して制御可能であるために、
 ∴ ......[]
2 振動中心で、振幅において、であったことから、
(e)より、
......[]


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