共通テスト数学IA '23年第2問 

[1] 太郎さんは、総務省が公表している2020年の家計調査の結果を用いて、地域による食文化の違いについて考えている。家計調査における調査地点は、都道府県庁所在市および政令指定都市(都道府県庁所在市を除く)であり、合計52市である。家計調査の結果の中でも、スーパーマーケットなどで販売されている調理食品の「二人以上の世帯の1世帯当たり年間支出金額(以下、支出金額、単位は円)」を分析することにした。以下においては、52市の調理食品の支出金額をデータとして用いる。
太郎さんは調理食品として、最初にうなぎのかば焼き(以下、かば焼き)に着目し、図1のように52市におけるかば焼きの支出金額のヒストグラムを作成した。ただし、ヒストグラムの各階級の区間は、左側の数値を含み、右側の数値を含まない。
なお、以下の図や表については、総務省の
Webページをもとに作成している。

(1) 1から次のことが読み取れる。
・第1四分位数が含まれる階級はである。
・第3四分位数が含まれる階級はである。
・四分位範囲は

の解答群(同じものを繰り返し選んでもよい)
 1000以上1400未満   1400以上1800未満
 
1800以上2200未満   2200以上2600未満
 
2600以上3000未満   3000以上3400未満
 
3400以上3800未満   3800以上4200未満
 
4200以上4600未満   4600以上5000未満

の解答群
 800より小さい
 800より大きく1600より小さい
 1600より大きく2400より小さい
 2400より大きく3200より小さい
 3200より大きく4000より小さい
 4000より大きい


(2)(i) 太郎さんは、東西での地域による食文化の違いを調べるために、52市を東側の地域E(19)と西側の地域W(33)の二つに分けて考えることにした。
(i) 地域Eと地域Wについて、かば焼きの支出金額の箱ひげ図を、図2,図3のようにそれぞれ作成した。
かば焼きの支出金額について、図
2と図3から読み取れることとして、次ののうち、正しいものはである。

の解答群
 地域Eにおいて、小さい方から5番目は2000以下である。
 地域Eと地域Wの範囲は等しい。
 中央値は、地域Eより地域Wの方が大きい。
 2600未満の市の割合は、地域Eより地域Wの方が大きい。

(ii) 太郎さんは、地域Eと地域Wのデータの散らばりの度合いを数値でとらえようと思い、それぞれの分散を考えることにした。地域Eにおけるかば焼きの支出金額の分散は、地域Eのそれぞれの市におけるかば焼きの支出金額の偏差のである。

の解答群
 2乗を合計した値
 絶対値を合計した値
 2乗を合計して地域Eの市の数で割った値
 絶対値を合計して地域Eの市の数で割った値
 2乗を合計して地域Eの市の数で割った値の平方根のうち正のもの
 絶対値を合計して地域Eの市の数で割った値の平方根のうち正のもの


(3) 太郎さんは、(2)で考えた地域Eにおける、やきとりの支出金額についても調べることにした。
ここでは地域Eにおいて、やきとりの支出金額が増加すれば、かば焼きの支出金額も増加する傾向があるのではないかと考え、まず図4のように、地域Eにおける、やきとりとかば焼きの支出金額の散布図を作成した。そして、相関係数を計算するために、表1のように平均値、分散、標準偏差および共分散を算出した。ただし、共分散は地域Eのそれぞれの市におけるやきとりの支出金額の偏差とかば焼きの支出金額の偏差との積の平均値である。

1を用いると、地域Eにおける、やきとりの支出金額とかば焼きの支出金額の相関係数はである。

については、最も適当なものを、次ののうちから一つ選べ。
          
          
    


[2] 太郎さんと花子さんは、バスケットボールのプロ選手の中には、リングと同じ高さでシュートを打てる人がいることを知り、シュートを打つ高さによってボールの軌道がどう変わるかについて考えている。
二人は、図1のように座標軸が定められた平面上に、プロ選手と花子さんがシュートを打つ様子を真横から見た図をかき、ボールがリングに入った場合について、後の仮定を設定して考えることにした。長さの単位はメートルであるが、以下では省略する。

仮定−−−−−−−−−−−−−
・平面上では、ボールを直径0.2の円とする。
・リングを真横から見たときの左端を点A,右端を点Bとし、リングの太さは無視する。
・ボールがリングや他のものに当たらずに上からリングを通り、かつボールの中心がABの中点Mを通る場合を考える。ただし、ボールがリングに当たるとは、ボールの中心とAまたはBとの距離が0.1以下になることとする。
・プロ選手がシュートを打つ場合のボールの中心を点Pとし、Pは、はじめに点にあるものとする。また、Mを通る、上に凸の放物線をとし、P上を動くものとする。
・花子さんがシュートを打つ場合のボールの中心を点Hとし、Hは、はじめに点にあるものとする。また、Mを通る、上に凸の放物線をとし、H上を動くものとする。
・放物線に対して、頂点のy座標を「シュートの高さ」とし、頂点のx座標を「ボールが最も高くなるときの地上の位置」とする。
−−−−−−−−−−−−−−−−

(1) 放物線の方程式におけるの係数をaとする。放物線の方程式は
と表すことができる。また、プロ選手の「シュートの高さ」は
である。
放物線の方程式におけるの係数を
pとする。放物線の方程式は
と表すことができる。
プロ選手と花子さんの「
ボールが最も高くなるときの地上の位置」の比較の記述として、次ののうち、正しいものはである。

の解答群
 プロ選手と花子さんの「ボールが最も高くなるときの地上の位置」は、つねに一致する。
 プロ選手の「ボールが最も高くなるときの地上の位置」の方が、つねにMx座標に近い。
 花子さんの「ボールが最も高くなるときの地上の位置」の方が、つねにMx座標に近い。
 プロ選手の「ボールが最も高くなるときの地上の位置」の方がMx座標に近いときもあれば、花子さんの「ボールが最も高くなるときの地上の位置」の方がMx座標に近いときもある。


(2) 二人は、ボールがリングすれすれを通る場合のプロ選手と花子さんの「シュートの高さ」について次のように話している。

−−−−−−−−−−−−−−−−
太郎:例えば、プロ選手のボールがリングに当たらないようにするには、Pがリングの左端Aのどのくらい上を通れば良いのかな。
花子:Aの真上の点でPが通る点Dを、線分DMAを中心とする半径0.1の円と接するようにとって考えてみたらどうかな。
太郎:なるほど。Pの軌道は上に凸の放物線で山なりだから、その場合、図2のように、PDを通った後で線分DMより上側を通るのでボールはリングに当たらないね。花子さんの場合も、HがこのDを通れば、ボールはリングに当たらないね。
花子:放物線Dを通る場合でプロ選手と私の「シュートの高さ」を比べてみようよ。
−−−−−−−−−−−−−−−−

2のように、Mを通る直線が、Aを中心とする半径0.1の円に直線ABの上側で接しているとする。また、Aを通り直線ABに垂直な直線を引き、との交点をDとする。このとき、である。
よって、放物線
Dを通るとき、の方程式は
となる。
また、放物線
Dを通るとき、(1)で与えられたの方程式を用いると、花子さんの「シュートの高さ」は約3.4と求められる。
以上のことから、放物線
Dを通るとき、プロ選手と花子さんの「シュートの高さ」を比べると、の「シュートの高さ」の方が大きく、その差はボールである、なお、である。

の解答群
 プロ選手   花子さん

については、最も適当なものを、次ののうちから一つ選べ。
 約
1個分  <@1>> 約2個分   約3個分   約4個分



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解答 [1] (用語についてはデータの整理を参照)は容易ですが、[2]は、少々考え込む上に実計算で答えるのは無理なので、出題者の意図に合わせて上手に考える必要があります。問題文中のというヒントは親切すぎて、試験時間内に何をすれば解答に至るのかが分かりにくく、却って受験生を混乱させるように思います。

[1](1) データの大きさが52で偶数なので、中央値26番目と27番目の平均で、1四分位数13番目と14番目の平均、3四分位数39番目と40番目の平均になります。13番目と14番目を含む階級は18002200()39番目と40番目を含む階級は30003400(), ア 2 イ 5 ......[]
四分位範囲は、最も狭くて22003000,最も広くて18003400,よって、800より大きく1600より小さい()ので、ウ 1 ......[]

(2)(i) 地域Eのデータの大きさは19なので、第1四分位数は5番目で図2から2050くらいです。よっては正しくありません。
2より、地域Eの範囲は、最小値が1180程度、最大値が3700程度で、範囲は2520程度、図3より地域Wの範囲は、最小値が1380程度、最大値が4980程度で、範囲は3600程度で明らかに両者は等しくないので、は正しくありません。
2より地域Eの中央値は2250程度、図3より地域Wの中央値は2620程度、中央値は地域Eより地域Wの方が大きく、は正しい。
地域
Eの中央値は2600より小さく過半数が2600未満です。地域Wの中央値は2600より大きく、少なくとも半数は2600未満です。よって、2600未満の市の割合は地域Eの方が大きく、は正しくありません。
2 ......[]

(ii) 分散は、偏差の2乗の和をデータの大きさで割ったものです。 オ 2 ......[]

(3) 相関係数は、共分散標準偏差の積で割ったもので、
 カ 7 ......[]

[2](1) プロ選手はリングと同じ高さからシュートを打つので、放物線の軸の位置、即ち「ボールが最も高くなるときの地上の位置」は、の中間の位置に来ます(2次関数を参照)。放物線の方程式は、頂点のy座標、即ちプロ選手の「シュートの高さ」をdとして、
 ・・・@
のときなので、
 ∴
4 ク 3 ケ 4 コ 3 ......[]
試験場で問題を解くのに必要ありませんが、問題文に書いてある放物線の方程式を求めてみます。軸の位置を,頂点のy座標をとおき、方程式をとすると、のときなので、
のときなので、
辺々引くと、
 ∴
よって、 ・・・A
は上に凸な放物線なのでです。よって、
ボールが最も高くなるときの地上の位置」は、花子さんの方が、Mx座標に近いことがわかります。サ 2 ......[]

(2) 太郎さんと花子さんの会話は、も、Mを通る上に凸な放物線なので、Mを通る円(Aを中心とする半径0.1の円)の接線よりも上を通り、接線と直線との交点D(から上)が通過すればよい、と考えるヒントになっています。
ぎりぎりを通過してリングに入る場合(Dを通過する)ADは問題文に書いてあるので、試験場で求める必要はありませんが、,接線と円との接点をTとして、より、
となっています。
を通ると考えるのでは計算が面倒なので、放物線の軸に関する対称点を通過すると考えると、
[][]より、@でとして、
 ∴  シ 5 ス 3 セソ 57 ......[]
つまり、プロ選手の「シュートの高さ」はほぼ3.6です。花子さんの方は、Aで、のときとして、pと頂点のy座標を求めるのは、あまりに計算が大変なので、問題文に与えられているという値で考えます。
シュートの高さ」は、プロ選手の方がほぼ (ボール1個分)だけ高く、タ 0 チ 0 ......[]



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