共通テスト数学IIB '23年第3問 

以下の問題を解答するにあたっては、必要に応じて43ページ(注.本ウェブサイトでは問題文の末尾)の正規分布表を用いてもよい。

(1) ある生産地で生産されるピーマン全体を母集団とし、この母集団におけるピーマン1個の重さ(単位はg)を表す確率変数をXとする。mσを正の実数とし、Xは正規分布に従うとする。

(i) この母集団から1個のピーマンを無作為に抽出したとき、重さがmg以上である確率
である。
(ii) 母集団から無作為に抽出された大きさnの標本,・・・,の標本平均をとする。の平均(期待値)と標準偏差はそれぞれ
となる。
,標本平均が
30.0g,標本の標準偏差が3.6gのとき、mの信頼度90%の信頼区間を次の方針で求めよう。

方針−−−−−−−−−−−−−
Zを標準正規分布に従う確率変数として、となるを正規分布表から求める。このを用いるとmの信頼度90.1%の信頼区間が求められるが、これを信頼度90%の信頼区間とみなして考える。
−−−−−−−−−−−−−−−−


方針において、である。
一般に、標本の大きさ
nが大きいときには、母標準偏差の代わりに、標本の標準偏差を用いてよいことが知れられている。は十分に大きいので、方針に基づくと、mの信頼度90%の信頼区間はとなる。

の解答群
(同じものを繰り返し選んでもよい。)
 σ         
 
m         
          

については、最も適当なものを、次ののうちから一つ選べ。
       
       

(2) (1)の確率変数Xにおいて、とした母集団から無作為にピーマンを1個ずつ抽出し、ピーマン2個を1組にしたものを袋に入れていく。このようにしてピーマン2個を1組にしたものを25袋作る。その際、1袋ずつの重さの分散を小さくするために、次のピーマン分類法を考える。

ピーマン分類法−−−−−−−−
無作為に抽出したいくつかのピーマンについて、重さが
30.0g以下のときをSサイズ、30.0gを超えるときはLサイズと分類する。そして、分類されたピーマンからSサイズとLサイズのピーマンを一つずつ選び、ピーマン2個を1組とした袋を作る。
−−−−−−−−−−−−−−−−


(i) ピーマンを無作為に50個抽出したとき、ピーマン分類法25袋作ることができる確率を考えよう。無作為に1個抽出したピーマンがSサイズである確率はである。ピーマンを無作為に50個抽出したときのSサイズのピーマンの個数を表す確率変数をとすると、は二項分布に従うので
となる。
を計算すると、となることから、ピーマンを無作為に
50個抽出したとき、25袋作ることができる確率は0.11程度とわかる。

(ii) ピーマン分類法25袋作ることができる確率が0.95以上となるようなピーマンの個数を考えよう。
kを自然数とし、ピーマンを無作為に個抽出したとき、Sサイズのピーマンの個数を表す確率変数をとすると、は二項分布に従う。
は十分に大きいので、は近似的に正規分布に従い、とすると、
Yは近似的に標準正規分布に従う。
よって、
ピーマン分類法で、25袋作ることができる確率をとすると
となる。
とおく。
になるようなについて、正規分布表からを満たせばよいことがわかる。ここでは
 ・・・@
を満たす自然数kを考えることとする。@の両辺は正であるから、を満たす最小のkとすると、であることがわかる。ただし、の計算においては、を用いてもよい。
したがって、少なくとも個のピーマンを抽出しておけば、
ピーマン分類法25袋作ることができる確率は0.95以上となる。

の解答群
(同じものを繰り返し選んでもよい。)
 k         
          


正規分布表
次の表は、標準正規分布の分布曲線における右図灰色
部分の面積をまとめたものである。

0.000.010.020.030.040.050.060.070.080.09
0.00.00000.00400.00800.01200.01600.01990.02390.02790.03190.0359
0.10.03980.04380.04780.05170.05570.05960.06360.06750.07140.0753
0.20.07930.08320.08710.09100.09480.09870.10260.10640.11030.1141
0.30.11790.12170.12550.12930.13310.13680.14060.14430.14800.1517
0.40.15540.15910.16280.16640.17000.17360.17720.18080.18440.1879
0.50.19150.19500.19850.20190.20540.20880.21230.21570.21900.2224
0.60.22570.22910.23240.23570.23890.24220.24540.24860.25170.2549
0.70.25800.26110.26420.26730.27040.27340.27640.27940.28230.2852
0.80.28810.29100.29390.29670.29950.30230.30510.30780.31060.3133
0.90.31590.31860.32120.32380.32640.32890.33150.33400.33650.3389
1.00.34130.34380.34610.34850.35080.35310.35540.35770.35990.3621
1.10.36430.36650.36860.37080.37290.37490.37700.37900.38100.3830
1.20.38490.38690.38880.39070.39250.39440.39620.39800.39970.4015
1.30.40320.40490.40660.40820.40990.41150.41310.41470.41620.4177
1.40.41920.42070.42220.42360.42510.42650.42790.42920.43060.4319
1.50.43320.43450.43570.43700.43820.43940.44060.44180.44290.4441
1.60.44520.44630.44740.44840.44950.45050.45150.45250.45350.4545
1.70.45540.45640.45730.45820.45910.45990.46080.46160.46250.4633
1.80.46410.46490.46560.46640.46710.46780.46860.46930.46990.4706
1.90.47130.47190.47260.47320.47380.47440.47500.47560.47610.4767
2.00.47720.47780.47830.47880.47930.47980.48030.48080.48120.4817
2.10.48210.48260.48300.48340.48380.48420.48460.48500.48540.4857
2.20.48610.48640.48680.48710.48750.48780.48810.48840.48870.4890
2.30.48930.48960.48980.49010.49040.49060.49090.49110.49130.4916
2.40.49180.49200.49220.49250.49270.49290.49310.49320.49340.4936
2.50.49380.49400.49410.49430.49450.49460.49480.49490.49510.4952
2.60.49530.49550.49560.49570.49590.49600.49610.49620.49630.4964
2.70.49650.49660.49670.49680.49690.49700.49710.49720.49730.4974
2.80.49740.49750.49760.49770.49770.49780.49790.49790.49800.4981
2.90.49810.49820.49820.49830.49840.49840.49850.49850.49860.4986
3.00.49870.49870.49870.49880.49880.49890.49890.49890.49900.4990



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解答 本問も結局、教科書に書かれている統計に関する基礎事項を覚えているか、だけで決まってしまいます。世論調査とか、医療対処とか、天気予報とか、統計的手法に基づく適切な行動方針・判断指針はどれか、と、考えさせるような問題を作るのは共通テストでは難しいのでしょうか?

(1)(i) 確率変数X正規分布に従うとき、期待値はm,標準偏差はσです。母集団からピーマンを1個無作為に抽出すると、重さが期待値以上になる確率はです。また、確率変数は、期待値0,標準偏差1の標準正規分布に従います。つまり、となる確率は、標準正規分布では、となる確率になります。 ア 0 イ 1 ウ 2 ......[]

(ii) n個の標本を母集団から抽出するとき、標本平均の期待値はm,標本平均の標準偏差は母集団標準偏差のです(母集団と標本を参照)です。 エ 4 オ 2 ......[]
正規分布表は、の部分についてのみ書かれているので、のとき、となるところを正規分布表から探します。こうなるのは、のときです。 カ 1 キク 65 ......[]
について、より、
 ∴
mの信頼度90%の信頼区間は、 ケ 4 ......[]

(2)(i) 抽出したピーマンがSサイズ(以下)である確率はです。 コ 1 サ 2 ......[]
ピーマンを無作為に50個抽出したときのSサイズのピーマンの個数を表す確率変数をとすると、二項分布に従います。ピーマン分類法で、Sサイズ、Lサイズ1個ずつの袋が25袋できる、ということは、抽出した50個のうちSサイズが25個ということで、その確率は、反復試行の公式より、
 シス 25 ......[]
ということは、ピーマンを50個抽出してSサイズとLサイズがちょうど半分ずつになる可能性はかなり低い、もっとたくさんのピーマンを抽出しないとSサイズが25個にならないかも知れない、ということです。

(ii) 問題文の要求は、個抽出してSサイズが25個以上、かつ、Lサイズが25個以上取れるときの確率pが、となるkはいくつか、ということです。
ピーマンを無作為に個抽出したとき、Sサイズのピーマンの個数を表す確率変数をとすると、は二項分布に従います。は十分に大きいので、は近似的に正規分布,つまり、に従います。 セ 3 ソ 7 ......[]
注.1回の試行で事象Aが起こる確率p,試行回数をnとして、二項分布では、Aの起こる回数の平均は,分散はとなります(二項分布を参照)。試行回数nが充分に大きくなると、二項分布は近似的に正規分布として考える()ことができます。上記では、とします。
とおくと、Yは近似的に標準正規分布に従います。
ピーマン分類法で
25袋作る、つまり、Sサイズピーマンを25個以上()、かつ、Lサイズピーマンを25個以上(Sサイズピーマンが個のとき、Lサイズピーマンは個でこれが25個以上なら,つまり)取り出す確率は、より、

よって、 タ 0 ......[]
αβを用いて書くと、
正規分布表で、となるときなので、になるためには、よりとすると、
より、
これを満たす最小の自然数は、 チツ 17 ......[]
よって、少なくとも個のピーマンを抽出すれば、ピーマン分類法で25袋作る確率が0.95以上になります。



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