東京慈恵医大数学'09[2]

(1) 与えられた行列 (ただし)に対して、分数関数が定まる。
(i) 二つの行列 (ただし) (ただし)で定まる分数関数をそれぞれとする。また、二つの行列の積を
とするとき、であることが分かっている。
次の命題が成り立つことを証明せよ。
で定まる分数関数は、合成関数である。
(2) 漸化式
 () ・・・@
と、初項で与えられた数列の第nを用いて表したい。
行列
Aとし、 ()とする。
(i) 漸化式@で与えられた数列について、
が成り立つことを、数学的帰納法により証明せよ。
(ii) とする。を求め、さらにnを用いて表せ。
(iii) 数列の第 ()nを用いて表せ。


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解答 分数タイプの漸化式行列を用いて扱おうという問題です。
なお、
漸化式の技巧行列の累乗を参照してください。

(1) 二つの行列で定まる関数は、
です。
で定まる関数は、
です。
よって、で定まる分数関数は、合成関数です。

(2)(i) 数学的帰納法により、
 ・・・A
を示します。
(T) のとき、より、なので、@より、
よって、Aが成立します。
(U) として、のときにAが成立、つまり、
 ・・・B
が成立すると仮定します。
で定まる分数関数は、として、(1)より、
です。漸化式@より、
また、Bより、
と書けますが、
より、Aは、のときにも成立します。
(T)(U)より、漸化式@で与えられた数列について、
が成り立ちます。 (証明終)
(ii)  (逆行列を参照)
 (行列の積を参照)
......[]
ところで、
より、
両辺に左からP,右からをかけて、

......[]
(iii) (ii)より、



......[]


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