東北大理系数学'10年後期[4]

として、数列,・・・
 ()
で定義する。以下の問いに答えよ。
(1) すべての自然数nに対して
が成り立つことを示せ。
(2) すべての自然数nに対して
が成り立つことを示せ。
(3) すべての自然数nに対してを満たす正の定数αのうち、最大のものを求めよ。


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解答 (3)は、(2)からと予測がつくので、対偶を考えることにします。高校の範囲では厳しい問題かも知れません。

(1) 細かく分けて、数学的帰納法で証明していきます。
(a) よりです。
であれば、
よって、帰納的に、すべての自然数
nに対して、です。
(b)
と仮定すると、
 ・・・@

よって、帰納的に、すべての自然数nに対して、です。
(c) より、

よって、すべての自然数nに対して、です。
(d) より、
と仮定すると、(c)によりとなり、なので、@と同様に、

よって、帰納的に、すべての自然数nに対して、
(a)(d)より、すべての自然数nに対して、

(2) より、
と仮定すると、よりとなるので、@と同様に、

よって、帰納的に、すべての自然数nに対して、,つまり、

(3) (2)より、だろう、という察しはつきますが、何をすれば、と断定できるのかを考えなくてはいけません。
そこで、「すべての自然数nに対してを満たす正の定数αのうち、最大のものを求めよ。」という問題文から、仮にとなればが満たせなくなる、ということを示すことにします。つまり、
「すべての自然数
nに対してのとき、」という命題の対偶、「のとき、 ・・・A となる自然数nが存在する」を示すことを目標にします。
まず、のとき、
つまり、となるので、であれば、Aを満たす自然数nが存在するのは明らかです。以下、の場合を考えます。
ところで、@において、
(1)(2)でも書いたように、です。また、(1)の結果でとすると、 (等比数列の極限を参照)であることと、はさみうちの原理より、となります。
α ()を満たすいかなる実数であっても、nを十分に大きくとれば、
 ・・・B
となるようなが必ず存在します。なぜなら、Bをみたす自然数nが存在しない、つまり、すべての自然数nについて、
であると仮定する(背理法については、証明の技巧を参照)と、

ここで、なので、は、2よりも小さなある定数です。ということは、のときになり得ず、不合理です。
つまり、のとき、Bを満たす自然数
nが必ず存在します。このとき、Bより、
 ・・・C
となります。Bを満たす自然数nは複数個存在するかも知れませんが、そのうちの最小のn (このnNとします)に対するの値をhとおきます。つまり、
() ・・・D
(1)より、すべての自然数についてなので、となるすべての自然数nについて、より、
 (つまり、となるすべての自然数nについて、B,Cが満たされる)
となるような自然数nについて、@と同様にして、
これを繰り返し用いて、
また、(1)の結果を用いて、,即ち、
 ・・・E
ここで、
 ・・・F
となってくれると都合がよいのですが、を両辺にかけると、
両辺の対数をとって、
より ()で割ると、
 ・・・G
よって、となるαに対して,Cを満たすような自然数N,Dを満たすようなh,Gを満たすような自然数n ()をとると、E,Fより、
よって、のときも合わせて、のとき、 を満たす自然数nが存在します。
従って、この命題の対偶、「すべての自然数
nに対してのとき、」も成立し、すべての自然数nに対してを満たす正の定数αのうち、最大のものは、 ......[]
注意.Gを満たす自然数n ()が存在するか、という心配がありますが、のとき、より、
より、です。


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