阪大理系数学'11年前期[5]
正数rに対して、
,
とおき、数列
を次の漸化式で定める。
ただし
と
から漸化式を用いて
を決める際には硬貨を投げ、表が出たとき
,裏が出たとき
とする。ここで表が出る確率と裏が出る確率は等しいとする。
の期待値を
とするとき、以下の問いに答えよ。
(1)
および
を、rを用いて表せ。 (2)
のときに
を、nとrを用いて表せ。 (3) 数列
が収束するような正数rの範囲を求めよ。 (4) rが(3)で求めた範囲を動くとき、極限値
の最小値を求めよ。
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解答 確率で漸化式の次の項を決めるという数列に驚かされますが、重量級の計算問題です。
(1) 硬貨を投げて表が出たとき、
(
とします)硬貨を投げて裏が出たとき、
(
とします)表が出る確率、裏が出る確率はともに
なので、
の期待値
は、
・・・@
......[答]硬貨を2回投げて、表、表と出たとき、
(
とします)硬貨を2回投げて、表、裏と出たとき、
(
とします)硬貨を2回投げて、裏、表と出たとき、
(
とします)硬貨を2回投げて、裏、裏と出たとき、
(
とします)上記で、
,
,
,
となる確率はいずれも
で、
の期待値
は、
より、注意.
の場合に、
,
と分けて解答してある本もありますが、上記の解答で、その場合も含んでいるので注意してください。
(2) @,Aから数列
が満たす漸化式の形が予測できます。ここで、一般的場合について、漸化式を考えます。
回硬貨を投げたとき、
がとり得る
通りの値を
,
,・・・,
とします。
(
)に対して、硬貨を1回投げて、表が出るとき
が定まり、裏が出るとき
が定まるとすれば、
は、
,
,・・・,
の、
通りの値をとり得ます。
のとき、
は2通りの値をとり、
のとき、
は4通りの値を取るので、
は、
通りの値を取り(
は
通り、
は
通り)、各値をとる確率は
です。
ここで、
のとき、
は1通りの値rをとり、
の期待値
とします。
さて、
のとき、
回硬貨を投げて、
(
)から、2回硬貨を投げたときの状況を考えます。
表、表と出たとすると、
(
とします)表、裏と出たとすると、
(
とします)裏、表と出たとすると、
(
とします)裏、裏と出たとすると、
(
とします)結局、n回硬貨を投げたとき、
は、
,
,・・・,
という値をとり得ますが、その確率はいずれも
です。
の期待値
は、
(
) ・・・Bとなり、
は公差rの等差数列になります。
より、
(
のときもOK) ......[答]
,つまり、
のとき、Bより、
は、初項:
,公比
の等比数列です。
(
のときもOK) ......[答]
かつ 
より、数列
が収束するrの範囲は、
これは、
のとき、最小値
......[答] をとります。
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