慶大理工数学'07年[A2]
(1) 2つの行列AとPを
, とする。ただし、a,b,kはいずれも実数で、であり、Pは逆行列をもつとする。このとき、αとβ を実数として となるように定数kの値を定めると、 キ である。また、αとβ をaとbを用いて表すと、 ク , ケ となる。したがって、行列Aのn個の積を とすると、a,b,nを用いて、 コ , サ と表すことができる。 (2) であるような実数tに対し、行列Aと、座標平面上の点, を、,, と定義する。このとき、すべてのnについてを満たすtの値の範囲を不等式で表すと、 シ となる。この場合、としても点は原点には近づかない。のときに点が原点に限りなく近づくようなtの値の範囲を不等式で表すと、 ス となる。
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解答 α,β は、行列Aの固有値で、行列Aの対角化をベースにした問題ですが、等比数列の収束条件をからめた計算問題に過ぎません。基礎のしっかりした受験生なら手が止まるところはありません。
式が長くならないように、α,β,γ,δに結果を代入してしまわないで、α,β,γ,δを使って、計算を進めていくのがコツです。
(1) (キ) の左からPをかけると(行列の対角化を参照)、 つまり、
∴ ・・・@, ・・・A, ・・・B
A×k−Bより、
より、
では、となり、より、が存在しなくなるので、 (逆行列を参照)∴ ......[答] (ク) @より、 ......[答] (ケ) Aより、 ......[答] (コ) (キ)より、 の両辺をn乗すると、 , より、
左からP,右からをかけて、 (ク),(ケ)より、
(サ) ......[答]
(2) (シ) (1)のAにおいて、,,,として考えます。 より、
, すべてのnについてより、 ∴ ......[答] このとき、,より、のとき、,となり、点は、原点に近づきません(等比数列の極限を参照)。 ......[答]
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